HSCちゃん、父との会話で才能を磨いていく

2020年7月よりHSCちゃんを育てるHSP母のコラムを
15名のメンバーで日替わりでアップさせていただきます。

さまざまな立場からの、さまざまな年齢のHSCちゃんの子育て現場レポをどうぞ。

 


「修学旅行が楽しくない人って、この世に存在するの?!」

HSCの娘(当時中3)が修学旅行を控え、
「行きたいけれど、疲れる。疲れると楽しくないんだよなぁ」
と繰り返し言っていたことに対して、夫(非HSP)が発した言葉です。

全員楽しんでいると思っていたのか……!

驚きのあまり呆然としている私(HSP)の横で、娘が聞きました。

 

娘「お父さんは、修学旅行が楽しかったんだね。よかったね。どの部分が楽しかったの?」

夫「全部。移動も、グループ活動も、ごはんも、観光も」

娘「そっか。特に楽しかったのは行った場所?一緒にいた人?」

夫「どっちもかなあ」

娘「修学旅行前に、班決めってあったよね。仲のいい子と組みたいって思うのは、たぶん

みんな同じ。でも、たいてい1つのグループに男子3、女子3だったりする。みんな仲のいい子と一緒の班になれるかな?」

夫「なれないねぇ」

娘「お父さんがそれを実現できたのって、なぜなのかな?」

夫「えっ、考えたことないよ。……ラッキーだったから?」

娘「電車やバスの席も、グループ活動も、すべてラッキーだったのかな?」

夫「………」

娘「そっと譲ってくれた人がいたんじゃないのかな。」

夫「譲る?なんで?みんな自分の希望を言うでしょ?」

娘「自分の○○したいを取り下げて、周りを第一に考える人もいるんだよ。

自分の希望を伝えるのに、ものすごく勇気が必要な人もいるんだよ。

その人たちの声は、大きな声でこうしたいって言える人たちの前で、

ないも同然になってしまうことがある。でもね、確実に存在しているの。

その人たちの配慮や気遣いや性質で、思いっきり楽しめる環境ができあがっている

可能性が高いんだよ。」

夫「……そうなのか……!」

 

 

 

 

悪気はない、気がつかないだけ

 

仲のいい子たちと一緒のグループになったとしても、
沈んだ表情の子がいたら気になって落ち着かない。
会話の中に入っていない子がいたら、その子も楽しめるような話題を考えて提供する。
そのような感覚を持っているのだ。

少数派ではあるけれど、それは私だけじゃない、
と娘が言うと、夫はさらに驚いていました。

全然知らなくて、同級生に申し訳ないことをした気分だ、と。

そんな動きをしていた心当たりのある同級生に、
この先会う機会があった時、お礼を言ってみるのはどう?と提案してみたところ、

「えー、今どこかにいる調和を優先してくれた同級生。ありがとうございました。」

と大きな声で言いました。

 

悪気はない、気がつかないだけ。

そうわかっていても、気がつかないところが多すぎやしないか?

しかもお礼って、本人にじゃなく、今ここで言うことなのか?

そう感じてしまう私が、修学旅行に関する発言をひとりで聞いていたのなら、
「信じられない、デリカシーがない」と夫に言ってしまい、ケンカになったかもしれません。

 

通じない、わかりあえない

 

さっと冷静になって夫に話しかけた娘も、
最初からこのような対応ができていたのではなく、
満身創痍で過ごした時期がありました。

 

どうしてこれが正しいのに、そうしないの?

どうしてこれが本質なのに、見ようとしないの?

どうしてわたしは、周りの子たちと違うの?

 

6年近く続いた辛く苦しかった間には、
学年で力を持っている女子にお世辞を言わず、
あの手この手で攻撃されたこともありました。
真っ直ぐに疑問や改善案を伝え、
「は?」という顔をされたことも数えきれないぐらいありました。
通じない、学校の誰ともわかりあえない。

一緒に悩みながら、苦しみながら、大ゲンカしながら続けたのは、
娘の気がすむまで話を聞くこと、娘を肯定する言葉をかけることでした。

 

photo:長束加奈

 

 

困りごとのなかにある、才能という名の宝物

 

中学1年生の秋。

「お母さん、なんとなくバランスがわかった気がする。一人ひとり違うからこそ、
みんな自分の価値観や感覚を大切にしたらいいんだね。
話したいときは、相手の言葉を使ったら通じることが多いんだね。」

突然このようなことを言い出しました。

 

相手の言葉を使って会話するには、
その人の感覚や価値観をそのまま受けとめること、
ジャッジしないことが大切です。
自分の「正しさ」「見えているもの」「わかっていること」が困りごとだったのに、
少しずつ時間をかけ、それらを「新しい視点」として、笑顔で伝えられるようになっていました。

 

HSCちゃんにとって安全な場所があったら、困りごとは才能へかわっていく。

それは真実でした。

現在高1の娘は、たくさんの同級生から悩みごとを相談されています。
なかには「安心するから」と娘の匂いを嗅ぎに来る子たちがいたり、
HSCと思われる特性を持っている子と、「それわかる!」をシェアしたり。
そして家では、愚痴を言いながらも、「こんなふうに言った方が伝わったのかな?」と話しています。

 

HSCちゃんの困りごとのなかには、才能という名の宝物が隠れています。

困りごとに対応する=親子の宝物探しだと思って過ごしてみませんか。

その先には、想像もしていなかった世界が広がっています。

 

 

writer:  村上泰子(16歳女子、12歳女子の母)

・アロマメディテーション セラピスト
・Webライター
・Facebook:https://www.facebook.com/yasuko.murakami.311

 


photographer: 長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka