2020年9月15日
今回は、「自分の気持ちが分からないHSCちゃん」について、お話ししたいと思います。
ふと、娘が最近言った言葉。
「自分の気持ちが分からないことが多い」。
このことはHSPである私自身にも身に覚えがあります。
例えば、「何食べたい?」と聞かれ、「なんでもいいよ。」もしくは「何が食べたい?」と逆に尋ねることが過去とても多かったからです。
人から「優しいね」と言われることもあったけど、実際のところ、自分の気持ちが分からなかったのです。
娘はこうも言いました。
「自分のことよりも他人が喜んでくれるほうがいい」
人の気持ちや場の雰囲気を察することができること、そのうえで配慮できる人。
確かに私も「優しい」の一言で、そんな子に育ってほしいなと思っていたように思います。
娘はその通り、敏感すぎるくらい、察して、行動する子になりました。
しかし、HSP/HSCや子育てについて、学べば学ぶほど、これでいいのかなという疑問がわいてきました。一見、とっても他人思いの優しい子のように思えますが、自分のことをないがしろにしてしまっているとも言えます。
気づかぬうちに自分の気持ちをないことにしていて、それが長い間、心の中に溜まってしまっているのです。
そして、今娘は自ら気付きました。
「自分の気持ちが分からない」と。
日本は「和」を大事にする、協調性が大事にされる社会。他人と違うとできるだけ、波風をたてないようにしたり、自分が周りから浮かないようにすることが多いと思います。年代別でも思春期は特に友達から浮かないようにあわせる傾向が強いように感じます。
これに加え、HSP/HSCは周りの感情を吸い込みやすく、他人と自分の感情を区別するのが苦手と言われています。
きっと娘も他人の感情と自分の感情を混同してしまっているのでしょう。他人の行動や葉発言が自分の行動基準で、自分が分からなくなっている。
でも、本当は存在しているのです。心の奥底にある娘自身の気持ち。
今、私が娘に思うのは、他人を大事にする優しさも必要ですが、それよりも何より、自分を好きになってほしいということです。自分は自分でいいとまるっと認められるようになってほしい。いいところもよくないところも自分で認めて、OKを出せること。そして、安心感をもって過ごしてほしい。そう思っています。そうすることで、他人だけでなく、自分のも大切にして、生きられるように思うのです。
先日あるテレビ番組で、誰かに「お醤油をとってほしい」、「ほかのテレビ番組がみたい」と以前は言えなかったというHSCちゃんがいました。これって、HSCちゃんあるあるではないかなと思います。人が食べているのを邪魔してはいけないんじゃないかとか、好きな番組を集中して見ているから邪魔してはいけない、とか、色々とその場の状況や雰囲気、他人の気持ちを想像して、遠慮して言えなくなってしまいます。
他人に共感できること、察することができること(その想像は間違っている可能性もありますが)はとても心優しくていいこと。
でも、そこで一歩進んで、自分の気持ちを安心して伝えられることも大切。
もし、自分をおさえつけて、感情を無視していたら、そしてマイナスの感情をため込んでいたら、ストレスが溜まり、身体症状に出てしまうこともあります。
その番組では、自分の感情を「オノマトペ(感覚の言葉)」で表現する方法を紹介していました。例えば、ドキドキ、ワクワクなどなど。短い言葉でもいいから自分の感情を表現することです。
また、大人が子どもが話してくれた、その気持ちや考えにまずは共感することが、安心して感情を吐き出せる一歩につながると思います。もし、それは違うと思ったとしても、「そうなんだね、あなたはそう思うんだね。」と。
人に認めてもらえることはとても嬉しいこと。自分を認めるきっかけにもなり、自分を表現する勇気にもつながります。
少しずつでも、HSCちゃんが自分の気持ちを大事にできるようになること、それがHSCちゃんが自分らしく、のびのびと安心して生きられることにつながるのではないでしょうか。
◆これまでのコラム
・「理想の娘探しの旅」〜HSCちゃんと気づくまで 第5回~学校選び・高校受験
writer: 瀬戸ひろみ
・HSP/HSC子育て心理学カウンセラー
・HP: https://hsc-kosodate.amebaownd.com
・Blog: https://ameblo.jp/hsc-kokorocyokin
photographer: 長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)
・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka