コラムColumn

うちの子育て奮闘記

中学生になってもひとりで留守番(自宅学習)ができない我が子への処方箋

2020年7月20日

子どもが、ひとりで留守番ができずに困っています。

自宅で、自宅学習ができなくて困っています。

 

こんなお悩みがある方はいらっしゃいませんでしょうか?

 

第一子は、中学生になっても留守番が苦手でした。

我が家は、子どもの年齢が、第一子と第二子の間が5学年違い。

第二子と第三子は、年子です。

下の子どもたちが保育園に行っている間、共働き核家族で、朝から18時過ぎまで、大人が家にいなかった我が家は、第一子が、学校から帰宅後、または長期休みの日中の過ごし方に、中学生になっても試行錯誤していました。

 

「どうして?」って。

「小学校高学年になれば留守番くらい一人でできるでしょ?」

という声が聞こえてきそうですが・・・

 

『ひとりで家にいることが、できない。』

 

これが、我が家でずっと起きていたことでした。

 

学校の振り替え休日は、
極力休みを取り一緒に過ごしていました。

その他の時は学童など、信頼できる預け先を探す日々。

小5から学童に入れなくなっても、
何とか夏休みは学童に入ることができました。

学童がなかった冬休み、春休みなど数週間だからと過ごす休みが一番の関門でした。

 

下の子の保育園の先生に相談すると、
「家のお手伝いとか、お勉強とかやることをリストアップして、一日のスケジュールを暇がないようにたてておくのよ!」
と、アドバイスをいただきました。

「そんなことで解決するなら、もうそうしているわい。」と心の中で私は叫んでいました。

 

春休み、冬休み、一日家でひとり過ごした日は、
いつも帰宅すると彼女は浮かない顔をしていました。

「今日一日、ろくなことをやっていない。」と言い、この世の果てのような顔をしていました。

何をやろうにも手につかなかったのだろう、早く帰ってきてと、願いながらずっと待っていたのだろう、さみしかっただろう、辛い時間だっただろうと、

今は私も彼女の気持ちに寄り添うことができますが、当時はそんな風に寄り添うこともできませんでした。

「あぁ、また浮かない顔をしているなぁ・・・ショック・・・」以上。

そこから、どうすることもできませんでした。

 

今思えば、彼女はHSCちゃん・・・親の仕事の忙しさや、親の余裕がない様子、何をするにも100%働いてしまう母。

疲れ切って、下の子二人と保育園の荷物を抱えて帰る私の様子をみて、親の状態を敏感に感じ取り、彼女もまた、「何も言えないわ・・・」と、我慢をしていたのだろうと思います。

 

留守番が心地よくできないまま迎えた中学生。

中間試験当日の早帰り、GW、夏休みの部活、週末も部活で学校となり、
他の家族と別行動せざるを得ないことが増えました。

より留守番が必要になりました。

そして、下の子たちがいない時間を、
留守番=自宅学習に充てることが必要になりました。

今度は、「家で学習できない!!」が課題となりました。

 

2019年夏、皆川公美子さんの主催するデンマークスタディーツアーに参加させていただきました。

デンマークは、大人になっても学べる環境があり、国が教育や働けない期間は必要な金銭的サポートをしてくれる、社会福祉国家です。

小学校への進学も、「この年齢になったから必ず小学校に入る。」ではなく、その子その子に応じて、「私は1年生には、まだ上がらないわ。」「もう1年幼稚園・保育園やろうかしら。」と親子と先生で話し合い、個々に合わせて選択できる。

スペシャルニーズのお子さんの学校も、公立小・中学校、どの種類の学校も「心地よくなくっちゃ学べない。」そう、校長先生は、おっしゃる。

年齢、出身地、そんなことに関わらず、国民は、子どものころから「心地よくなくっちゃ学べない。」という、大大大大前提の中で生活をしていました。

 

↑教室前方の写真

教室には、ヘッドフォンがいくつかあります。

教室前方(ホワイトボードや先生の方)を向いて学ぶ方法では、集中して学べない子ども用に、壁や窓の方を向いた、席もありました。

↑窓向きの席

 

↑壁向きの席

 

↑カラフルな壁面・対話を促す掲示物

 

ちょっと休みたいときには校長室に行って、子どもたちがリラックスできるようぬいぐるみがおいてあるソファーがありました。

子どもの育ちをサポートする、『ペタゴー』という専門職の方もいて、担任の先生の他にも子どもの育ちを親と一緒になってサポートする専門家がいました。

 

帰国後、このことから知恵を得て、
『留守番できない』という視点から目線を外して、家族みんなの『心地よい』を、対話してみました。

勉強の必要性を感じている中学生ですから、
自然と心地よい学び方の話題になりました。

 

思いつくがままに、ひとりひとりがどんな場所でどんなことをしたいか、絵や文字で書いていきます。

「心地よいおうちってどんなおうち?」

「どんな場所が、おうちにほしい?」

「おうちで、どんなことしたい?」

「勉強は、どんなところでしたい?」

「ゆっくりしたい気持ちの時は、どんなところでゆっくりしたい?」

 

長女がいいました。

「私はね、空が見えて、太陽の光が入る明るいところで勉強したいの。」

 

当時は、北向きの部屋が彼女の部屋でした。

そしてカーテンは遮光カーテンでした。

明かりの色も明るさも、どうやら彼女の好みではなかったようです。

 

他の家族の要望も取り入れ、全員の希望を今ある環境でできる範囲で叶えた家具の配置を考えました。

 

南向きリビングの窓の前に、勉強机を設置しました。

↑空が見える席

 

家族がいない、束の間の静かな勉強時間。留守番2日間。

彼女は、勉強をして留守番ができました。仕事から帰ると「今日は勉強できた!」とニコニコしていました。

数日後、試験が終わり、結果が出ました。

この時、彼女の成績は上がりました。

 

留守番ができて勉強ができたのは、たった2日の出来事でした。

『自分の心地よい環境で勉強できる。』ことで、こんなにも変わるの?と、驚きました。

 

その後、コロナのことがあり、全員が家にいて、彼女も留守番をする機会は、ほぼなくなりました。

でも、彼女は窓の前のその席で、イヤフォンをつけて勉強をしています。

イヤフォンをつけても、ちょっと聞こえるみんなの声や音に安心しているのだろうなとその背中をみて感じています。

 

「勉強は、明るいところで空をみながらしたい。」

これが、彼女にとって一番大切なことでした。

 

いま振り返ってみると、

『何をやっても、手につかない』ことが、彼女の『留守番できない』『浮かない顔』の原因でした。

 

苦手な環境がわかっている場合、そのことの対処ができれば一番早いと思います。

でも、理由がはっきりしないとき、その子の『心地よい』にフォーカスしてみると一筋の光がみえてくるかもしれません。

 

大人になるとなかなか、「私はこれが、ほしいのよ!」とか「心地よいのよ!」「これが、好きなのよ!」と、出てこないかもしれません。

若々しい子どもたちは、『心地よい』や『好き』を出すことは、言う機会がないだけで、案外得意かもしれませんね。

親子で、お互いの『心地よい』『好き』を話してみるのも、子どもにとっても親にとっても、楽しくて、心地よい時間になるかもしれません (^^♪

 

 

前回のコラム➡ひとはいるだけで完璧な存在〜HSCの子どもが教えてくれた美しい世界

 

writer: 大西愛(13歳女子、9歳男子、7歳女子の母)

・病児保育士
・HSC/HSPメッセンジャー
・~親が楽になれば、子も楽になる~ https://note.com/a_haiji


photographer: 長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子 の母)

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

 

 

 

関連記事