コラムColumn

HSCちゃんの身体と心のメカニズム

HSCが抱える心身の不調〜むずむず脚症候群の小学生〜

2020年7月8日

わたしはソレンセン式神経反射療法という自然療法とカウンセリングのサロンをしています。

サロンにいらっしゃるクライアントの約半数が子どもたちです。

元々はアレルギーや発達障害の子どもたち向けのケアをしていましたが、
この2〜3年は繊細さと高い感受性を持つHSCっ子たちのご相談を受けるようになりました。

彼らの多くがHSCの繊細で敏感な気質ゆえに出てしまう不調を抱えていらっしゃいます。

これまでわたしが出会ってきたHSCっ子ちゃんたちのこと、
似たような症状に悩む方の参考になればと思い、
個人情報は伏せた形にはなりますがシェアさせていただこうと思います。

 

➖目次➖

1:むずむず脚症候群のご相談にきたHSCちゃん

2:カウンセリングからみえた解決の糸口

3:一般的な感覚の方の想像を超えるHSCの体の感覚の敏感さとは

4:敏感さによるしんどさからの脱却

 

➖1:むずむず脚症候群のご相談にきたHSCちゃん➖

ある時、知り合いの方からのご紹介で「重度のむずむず脚症候群」の小学生のご相談を受けることになりました。

むずむず脚症候群とは、じっとしていたり横になると主に下肢がむずむずする、
かゆい、ちくちくする、触られた感じがするといった不快な症状が起こります。

腕や首など下肢以外の部位に起こることもあります。

ひどくなるとじっとしていられない、叫び出したくなるほど辛い、眠れない、などの状況になります。

(別名レストレスレッグス症候群)

 

このむずむず脚症候群は、現代医学においてハッキリとした原因は解明されておらず、

*ドーパミンという神経伝達物質の低下

*鉄分不足

*神経の異常

などが原因ではないかといわれ、
鉄剤の処方やドーパミン関連の抗精神薬処方が主に行われているようです。

 

そのお子さんは、幼稚園の頃から症状が出始め、時々症状が出ていたということでした。

病院にも行き、数ヶ月たって症状が軽減するのを何度か繰り返していました。

小学生になり症状が強く出るようになり、ご相談に来たときには、

授業中に座ってられなくて動いてしまう。

何時間も夜眠れず、辛すぎて泣き叫びながら、疲れて寝付く。

といったことに悩まれていました。

お母さまも寝かしつけるために長い時間脚をマッサージしたりして、大変な状況だったそうです。

病院からは重症なむずむず脚症候群と診断されて、
てんかんの治療などに使われる強い抗精神薬を処方されていました。

強いお薬ゆえにまともに動けなくなるほどの副作用も出てすぐに使えなくなったそうです。

 

 

➖2:カウンセリングからみえた解決の糸口➖

カウンセリングではお母さまにお子さんの気質や普段の生活などを細かく伺い、
症状が出た頃の環境などを聞いていきました。

お子さんご本人にも仲良くなるためにいろんな話をしながら、
どんな感覚がするか、どんな時につらくなるか、など聞きました。

 

*とても繊細な感性を持っている子で、おとなしいけれど、自分の意見をしっかりと持っていること。

*年齢よりもずっと聡明で、さまざまなことを深く考えていること。

*痛みや不快感など、体の感覚をとても敏感に感じること

*この症状をとても不安に感じていること

*これまでも心に負荷がかかるような環境下で症状が出ていたらしいこと

 

このお子さんの場合、

〜体の感覚の敏感さが特に高いため、体のあちこちでさまざまな影響を感じ取っている。

心に負荷がかかるとその敏感さはネガティブな方向に強くなる。

むずむず脚症候群という診断を受けたことと
それを治そうという方向性で周りからの働きかけがあったため、
その感覚は異常なこととしてインプットされてしまい、
治らなかったらどうしようなどと不安感が強くなっていった。

その不安感ゆえにさらに不快な感覚が強くなり、
そうなるとお母さまも不安が強くなり、と負のスパイラルが起こって今の状況に至った〜

のではないか、ということが考えられました。

 

そして、お子さんとお母さまに、

体の感覚が敏感なことは異常ではなく、
そういう感覚の持ち主は他にもたくさんいること
(わたし自身がそうなので、お互いにあるあると共感できる話で盛り上がりました)

心や体が疲れていると、その敏感さはつらい形で強くなること。

だから疲れすぎないように、適度に自分を休ませてあげることを優先すること。

その敏感さはつらい時もあるけれど、それは活かせる才能にもなるということ。

 

などをじっくりとお伝えしました。

カウンセリングが進むにつれて
お2人とも少しずつ表情が緩んで、ほっとしたお顔になっていきました。

 

そしてカウンセリングの後、神経反射療法を行うと、
反射区に自律神経の緊張状態が続いていることがみられました。

HSCや発達障害と言われ不調が出ている子どもたちによくみられるサインです。

起立性調整障害と診断される子にもよくみられます。

本来、私たちは自律神経のバランスによって神経の緊張と弛緩(リラックス)を繰り返し、
内臓や筋肉、ホルモンなど働きを調節していますが、

なんらかの影響によって常に神経が緊張してバランスが取れないことで、
体の働きに不具合が出て様々な不調が出てきます。

そこで、神経を緩ませて休ませるプランで施術を行いました。

 

その日以来、すぐに眠れないほどの不快感はほとんどなくなり、日に日に寝付くまでの時間が短くなっていきました。

お子さん本人も「感じる力が強いのは病気じゃないし、すごい才能をいっぱい持ってるんだって。とても安心する。」と嬉しそうに話しているそう。

むずむずの感覚は、やはり心に強いストレスがかかった時には少し感覚が強くなったようですが、
それも徐々に薄くなり、本人が少し気になるかなという程度になって、日常生活の困難さもすっかりなくなりました。

 

 

➖3:一般的な感覚の方の想像を超えるHSCの体の感覚の敏感さとは➖

 

体の感覚の敏感さというのは、HSCあるあるです。

繊細な質を持つHSCの中で、体の感覚をとても敏感に感じるタイプの子がいます。

彼らは小さな頃から痛みや痒み、苦しさ、熱さ、寒さなどの不快感を強く訴えます。

その頻度が高く、敏感でない人にとっては共感しにくいために
「大げさな子」「嘘をついている」などと言われてしまうこともあります。

ですが、決して大げさでも嘘でもなく、本当にそう感じているのです。

その敏感さは、一般的な感覚を持つ方からすると
もしかしたら想像を超えるほどのものかもしれません。

 

わたし自身もHSPですが、かなり体の感覚が敏感なタイプです。

例えば、なにかを食べた後、消化されていく食物がどのあたりを通っているのかを感じます。

胃なのか腸なのか、腸のどのあたりなのか。まで感じます。

また、常に血液の流れを感じたり、心拍の振動を感じたりしています。

内臓の動きを感じるくらいなので、痛みなどの不快感はもっと強く感じ取ります。

電磁波などの見えないエネルギーもさまざまな感覚として感じ取ります。

だから、常に体のどこかしらにさまざまな感覚を持っています。

 

生まれた頃よりそんな感覚を持っているので、それが普通だと思っていましたが、
大きくなるにつれて、これは普通じゃないのかもと思うようになりました。

なんの不快感もない日の方が珍しく、体調が絶好調な日は滅多にありません。

子どもの頃から疲れやすく痒みや痛みが多いので、自分は体が弱いからしんどいと感じていました。

 

➖4:敏感さによるしんどさからの脱却➖

 

わたしは娘が病気を持って生まれたことをきっかけに、
体や病気に興味を持って自然療法の世界に入ったのですが、

体の仕組みを勉強して知っていくごとに、
自分の感覚が体の働きに連動していることを自覚しました。

そして自覚するごとに、しんどさが楽になっていきました。

何か理由のわからない不快感はとてもしんどいですが、
理由が分かるとしんどさではなく「そういうものだ」と捉えられるようになったのです。

さらに、施術者としても、カウンセラーとしても、
その敏感さはとても有意に使うことができることに気がつきました。

手指の感覚が敏感なので、体のどこに滞りがあるかを容易に感じ取ることができます。

相手の感情の動きや緊張を体の感覚として感じ取る敏感さもカウンセリングに有効です。

自分がしんどくて弱さダメさだと思っていた敏感さは、誰かのの役に立つものなんだ。

その発見は、わたしの人生観を大きくポジティブに変えていきました。

しんどいと感じていた敏感さは、わたし自身の才能として受け入れて活かしていくうちに、
自分の体の取り扱い方がよりわかっていき、いつのまにか苦しさもあまり感じなくなって元気になっていきました。

若い頃よりも40歳になる今の方がずっと元気で健やかに過ごしている気がしています。

 

HSCは自分の敏感さや気質を知ることとお母さんに知ってもらうことで、まず心が楽になります。

そして、そんな自分の敏感さへの対処法を知っていくことで、心だけでなく体も楽になります。

敏感な質は悪いところでも、ダメなところでもない。

それを才能として活かすことだってもちろんできる。

そうやって前向きに捉えて生きていったらずっと楽で元気で楽しくなるよってこと、

辛さを抱えるHSCちゃんとお母さんにこれからも伝えていけたらと思っています。

 

※むずむず脚症候群と診断された全ての人が上記の例に当てはまるわけではありません。

こちらで行っているのは医学的な診断に基づいた治療ではないことをご了承ください。

 

 

 

writer:  白尾藍 (11歳女子の母)

・ホリスティックサロンアイラ主宰:http://salonaila.com

・ソレンセン式神経反射療法士

・NPO法人こころね理事長


photographer: 長束加奈 (10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

 

 

・ホリスティックサロン アイラ主宰
http://salonaila.com
・ソレンセン式神経反射療法士
・NPO法人こころね理事長

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