コラムColumn

HSCちゃんの才能と資質

宝箱に眠っているものは?‐HSP/HSCの才能

2020年7月11日

小さい頃、本やマンガの主人公が持つ「宝箱」に憧れた。
中身は主人公によって違っていて女の子だとキレイな石だったり、
手紙や家族との思い出の品だったり。
男の子だとのび太が王冠コレクションをしていたっけ…

自分にとって大切なもの、いいなと思うものをきちんと大切にする、
というところがよかった。
他人には理解してもらえなくても、
自分はこれが大切だ、訳もなく好きなんだと。

私はビー玉やおはじき、縁日で買ったカラーストーンなど
ガラスのもの、銀や真鍮でできた鈴、古い鍵などアンティークな感じがするもの、キレイな折り紙などを入れていた。

大切なものを他人から軽んじられると悲しくなり、
自分が否定された気持ちになる。なので好きと言わなくなる。
すると、何が好きだったか分からなくなってくる。
自分とのつながりが感じられなくなる。

宝箱の中身、それは自分の才能であり特性、価値観。人それぞれで、優劣はない。

 

現在私のメインの仕事は大学での学生相談(大学のスクールカウンセラー)です。
美術系の大学に勤務していますので、
そこでは本当にたくさんのHSPさん-かつてはHSCちゃんの学生達に出会います。
教職員にも多いです。

いやもうアートですからね。とんがってナンボの世界ですからね。

相談室に来る学生達はそれぞれに悩み事や困り事があり、
そのいきさつを聞いているうちに美大を目指した理由についても聞くことが多いです。

すると、大まかに

①「自分はこれが好きで、というよりこうするしか出来なくて」

②「そんなに好きって訳じゃないけど、模写やデッサンが自然にできたから美大にきた」

という2つのタイプに分かれます。
どちらも、自身の価値観・欲求や特性に沿って選んだ道なのでいいなあと思って聞いています。

 

今は色々困難があったり、大変だけれども、
何か大丈夫なのではないか(例え大学を辞める選択になっても)と思う学生達は、
ご家族や画塾の先生など周囲に受け止めてくれた人がいます。

ご家族に美術に対する知識がなくても
「この子は何か作るのが好きなんだな」
「何故か分からないけど、どうも辛そうだな。今の環境が合わないのかな」
と認められた体験がある。

宿題をやらないとか不登校など、一般的なレールからはみ出していても、
そのため生きづらさを抱えていても、身近な大人にありのままの姿を認められ、
宝箱ごと守られたことがその学生を支えているように感じます。

周りに理解者がいなくても、自分で自分の宝箱を大事にできていればいいじゃないか
と思うかもしれませんが、哺乳類はそういうシステムになっていないのです。

 

それと本人が本人らしく過ごすには、何が必要か?と周囲が真剣に考え
そして柔軟に(ある意味貪欲に)求めていった経緯もよく聞きます。

学校の一斉教育が合わないなら塾やフリースクール。通信制高校を選ぶ。
一時的に薬や制度を利用した方がよさそうなら診断を受けるなど、
受け身に診断を受けるのではなく自分で選択していく自律性がそこにはあります。

「この子はどうしてこうなんだろう」という疑問から、
「この子がこの子らしくあるには」という考えのシフトがどこかであるのです。

ご家族とお話する機会も多いのですが、この疑問→シフトの話を聞くと毎回心打たれます。

私自身HSCっ子を持つHSP母なので、
子供に対してそうありたいなと共感するとともに、
自分も幼少時そのようにされていたらなあ、と思うのです。

本人は、自分自身であるだけでいい。
私達大人も、本来そうであるはずなのですから。

目標はマズローの欲求段階説で言う自己実現(ありのままの正直な自分のしたいことが社会貢献になっている状態)、他は全部手段です。

このコラムを書くのは、奥底に仕舞った宝箱を探していく作業であり、
私の自己実現の過程でもあります。

私が大切にしたいものや、自分の宝を大切にしてきた・された大人の話をお伝えすることで、
HSCっ子のお母さん達の応援になれたら最高です。

内容は、

・トンガリさん=宝箱を持っている大人・学生達のエピソード

・HSP研究の紹介

・発達障害(神経発達症)とHSP

などについてです。お楽しみに♪

 

writer: 古田明子(14歳男子、11歳男子の母)

・公認心理師
・臨床心理士
・HSP-高感受性さんのための青空カウンセリング https://ameblo.jp/yamanashi-leaf

 


photographer:長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

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