コラムColumn

HSCちゃんの身体と心のメカニズム

HSC不登校 〜「明日は学校いく」「学校いきたい」の言葉の奥にあるもの〜

2020年9月8日

 

わたしはソレンセン式神経反射療法士の傍ら
NPO 法人でフリースクールやカウンセリングや親の会などの不登校支援をしています。

ひといちばい繊細な感性を持つと言われるHSCちゃん。
学校という刺激の多い場に馴染めずにいわゆる不登校になることもあります。

はじめはどこか体調が悪くなって欠席や、
何かしらのトラブルをきっかけに欠席することが続いていき、少しずつ休みがちになっていく。
行ったり行かなかったり、という時期が長く続くこともあります。

 

 

休みがちになった子に「学校いきたくないの?嫌なことがあるの?」と聞いても

学校が嫌だとか、行きたくないとは決して言わないという子も少なからずいます。

むしろ「学校には行きたい」「学校は楽しい」と言うこともあるのです。

「明日は学校いく!」と夜には元気に登校の準備をして、翌朝になると頭痛や腹痛で行けなくなる…ということを繰り返す子も少なくありません。

朝になると体調が悪くなるけれど、欠席の連絡をして少しすると元気になる。

 

矛盾していると思いますか?

そういう子たちは決して嘘をついているわけではありません。

 

お子さんの気持ちに寄り添うことを優先させていて、本人が学校には行きたいと言うから、なんとか学校へ行けるようにサポートしてるのに…と、どうしたらよいのかわからなくて混乱してしまうと言う親御さんもいます。

わたしはそういうご相談を受けたとき、

お子さんの「学校に行きたい」「明日は学校に行く」の奥に何か他の気持ちがあるかもしれないから、それを観てみませんか?と声をかけます。

個人差はあるけれど高学年くらいでしょうか。ある程度、自分の気持ちがわかる年齢のお子さんには、本人にそう声をかけます。

 

 

HSCはその繊細さや敏感さが際立った特性として捉えられることが多いですが、繊細さ以外の特性がいくつもあります。

例えば深く物事をとらえ考えていく傾向や、人の気持ちに深く共感し同調する傾向、物事の本質や背景を広く洞察する傾向などを持っていたりします。

(その子によってどの傾向が強いのかはそれぞれ異なります。)

 

このような特性を持つHSCにとって、「学校に行かない」という選択が、今の社会の中では簡単に受け入れられないことだということは重々承知しています。

親御さんの心配や不安もわかってしまう。

先生や学校の友達からどう思われるかも深く広く考えてしまう。

祖父母や親戚、近所の人にどう思われるか、親がどう言われるかまで考えてしまう。

何より、学校に行けないことでこの先自分の将来がどうなっていくのか。

勉強はどうしたらいいのか?

日々、どうやって過ごしたらいいのか?

中学生になったら?高校生になったら?大学は?大人として仕事できるのか?

本当にさまざまな事を考え、思い悩みます。

 

HSCにとって、学校に行く行かない問題は、

単純に学校に行きたくないから行かない。

嫌なことがあるから行かない。

という一言で言えるようなシンプルなことではなく、さまざまな感情や思いや考えが複雑に絡み合っている問題なのです。

 

そういった事で頭の中がパンパンになってしまうと、一番大事な自分の気持ちがよく分からなくなります。

学校に行くことはしんどい。嫌だと感じていたとしても、それを素直に口にすることはとても怖いことです。

それによって「学校に行かない選択」をすることになったら…学校に行くしんどさはなくなるけれど、さまざまな不安が押し寄せてくることになる。

それが怖いのです。

だから、無意識のうちに押し込めてしまう。

HSCの場合、こういったことは年齢関係なく起こります。

1年生でもこのくらいの事を考えています。

言語による認識力は年齢なりかもしれないけれど、深く広く感じたり考えたりすることは大人の想像を超えるほどなのです。

 

 

「学校に行きたい」というのは「行けるものなら行きたい。それならみんなと同じ、普通でいられて不安がないんだから」ということかもしれません。

学校に行けない自分ではなく、学校に行く自分をマルにしていたとしたら、なるべく行くように努力しようとします。それが、「明日は学校に行く」発言につながるのかもしれません。

学校に行くためには、自分が学校に行ける条件を無意識に考えている。それが「学校は楽しい」や「友だちや先生に会いたい」と言った発言に繋がるのかもしれません。

 

そうやってさまざまなことを深く広く感じて考えている子たちの本当の気持ちを聞くことは簡単ではありません。

本人すら無意識に押し込んでしまっていることもあるのだから…

 

でも、よくよく観ていると、分かることがあります。

それは体の症状です。

痛みなどの不調は、奥底にある心の叫びが表面化したサインとして出ることがあります。

朝になると不調が出る。休む日や夜は元気。

ということが繰り返されるのであれば、学校が心の負担になっているであろうことがわかりますね。

子どもによっては、痛みではなく、めまいや痒みなどの不快感、湿疹などの不調として出ることもあります。

元々あったアレルギーなどの症状が強く出たり、ということもあります。

不調とまでは行かなくても、朝、何度起こしても起きない。というのも心のサインでしょう。

学校に行くまで憂鬱そうにしているとか、帰るとすごく疲れていたり、感情の起伏が激しくなる、不安定になる、ということも見て取れるかもしれません。

 

親御さんに、そういったサインがないかどうかを聞いていくと、「やっぱりそうなんですよね…」と、どこか分かっていたというような反応をされる方が多いです。

薄々、というか、本当のところは学校に行くことが子どもにとって負担だということは気付いていたのだけど、どこかまっすぐには受け入れられていなくて、認めたくなくて、「学校に行く、学校は行きたい」という本人の言葉に寄りかかって考えていた。

というようなことに気付いて向き合い始めます。

やはり、親御さんにそういう気持ちや迷いがある場合、それを感じ取ったお子さんは学校に行きたくない気持ちを押し込めることになります。

こういう場合、まずは親御さんの気持ちがお子さんの負荷にならないよう、フラットに近づけていけるといいかもしれませんね。

もちろん、親だって人間ですから、不安も心配もある。愛する我が子のことですから、当たり前のことです。

でも、親御さんにとって1番大切なことって何か、お子さんに1番に望むことって何か、を振り返って考えて欲しいのです。

 

 

学校に行って欲しい。

みんなと同じように「普通に」育って欲しい。

 

ではなく、

 

元気でいて欲しい。

幸せでいて欲しい。

その子らしく生きて欲しい。

 

と、1番に望むのではないでしょうか。

そこにフォーカスして考えていくと、

その子が元気で幸せならば「学校は行っても行かなくてもどちらでもいい」と、フラットに思えるかもしれません。

 

親御さん(特にお母さん)の気持ちがフラットになると、子どもは少しずつ本当の気持ちを出していくことができるようになります。

そういう「自分の本当の気持ち」を、自分がしっかりと掴めることがHSCにとって、とても大切なことになります。

HSCはその特性から他者の気持ちと自分の気持ちが混ざり合ってしまい、それが生きづらさに繋がりかねないからです。

「自分の本当の気持ち」を掴んで、それに沿って生きることが、HSCがその子らしく幸せに生きる方法でもあるからです。

 

「学校がしんどい」と素直に出せる子はまだ安心です。

そう素直に言えないHSCっ子たちはたくさんいます。

その子の言葉の奥にある本当の気持ちを一緒に観ていくサポートをしていきたいと常々思っています。

 

◆これまでのコラム

HSCが抱える心身の不調〜むずむず脚症候群の小学生〜
HSCが抱える心身の不調〜朝起きられなくて学校にいけない…起立性調節障害(OD)
HSCっこの不思議な体験の話
HSCっ子の不思議な話〜戦争の記憶に共感する子どもたちから教えられたこと〜

 

 

writer:  白尾藍 (11歳女子の母)

・ホリスティックサロン アイラ主宰:http://salonaila.com

・ソレンセン式神経反射療法士

・NPO法人こころね理事長


photographer: 長束加奈 (10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

 

 

 

・ホリスティックサロン アイラ主宰
http://salonaila.com
・ソレンセン式神経反射療法士
・NPO法人こころね理事長

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