コラムColumn

HSCちゃんの身体と心のメカニズム

「お母さんの心からの理解」と「友だち」は引きこもりから立ち上がる希望

2021年12月20日

わたしは、ソレンセン式神経反射療法のセラピストの傍ら、
千葉市のNPO法人こころねの不登校支援としてフリースクール地球学校を開催しています。

 

不登校になることで物理的にも精神的にも引きこもってしまう子どもたちがたくさんいます。

特に小学高学年から中学生にそういったご相談が多いです。

 

家庭不和やいじめなど酷い目にあった等のはっきりとした原因がなく、
周囲にはその理由がわからないことがよくありますが、おそらくそういう子の多くが、
繊細な質を持っているがゆえになんらかの生きづらさを感じているのではないかと思います。

HSCの子たちにとっては刺激の多い学校は決して楽な場所ではなかったりします。
楽しいと感じる瞬間はあっても神経をすり減らしてしまう場所でもあります。

学校がしんどい、でも頑張る、を繰り返していくうちにすっかり消耗してしまい、学校を休みがちになる。
休むことで学校に行けなくなることへの不安。将来への不安。
みんなと同じように頑張れない自分をダメだと感じ、自己否定の渦に飲み込まれる。

家族や先生など周りの期待や心配や不安のエネルギーを痛いほど感じ、それに応えられない自分に自己嫌悪する。

そんな自分を責めて責めてそれが限界に達すると、甘えられる身近な誰か(多くの場合はお母さん)に消化しきれない思いをぶつけるようになります。大好きなお母さんにわかってほしい、でも心底はわかってもらえない悲しみ、自分のネガティブな感情をぶつけてしまう罪悪感も苦しい。でも止められない。

 

そういった苦しみの連鎖の後、子どもたちは自分の殻に閉じこもり心を閉ざしていきます。
閉ざしてしまった子どもの姿に、さらに不安や心配を募らせる家族。自分に向けられる感情がさらにその子の殻を厚くしていきます。
自分の置かれた環境や周囲の人が持つ感情の影響をひといちばい強く受けてしまうHSCの感受性の強さゆえの悪循環が起こってしまうのです。

自分の部屋に引きこもって出てこない。
夜中に起きていて、朝方から夕方まで寝ている。
外出どころか、入浴や歯磨きなどの日常生活もままならない。
起きている間中ずっとネットやゲームばかりしている。
家族との会話があまりない。
何か声をかけても不機嫌になるばかりで話ができない。
リストカットをしている。
死にたいと思っているようだ。

本人とその家族にとっては出口の見えない真っ暗闇のトンネルで右も左もわからずに歩き回っているような日々なのではないでしょうか。
このようなご相談を受けると心が締め付けられるような思いになります。

 

 

引きこもりからの脱却は簡単なことではありません。そのプロセスには時間もかかります。
それでも、そこから抜け出して、自分らしく生きるための一歩を踏み出す子どもたちがいます。

そういう子たちのプロセスに共通してるのは、家族、特にお母さんの理解が得られていることです。

お母さんがその子の気持ちに寄り添おうとしている、それも表面上の形だけでなく、本当に心から寄り添おうとしていること。
それが分かると、子どもたちはお母さんと話をし始めます。
これが嫌だ。これが欲しい。こうして欲しい。など甘えはじめます。
家の中で会話ができるようになったり、笑顔が見えるようになっていきます。
これがプロセスの1段階目です。

 

そうやって少しずつエネルギーが溜まっていくと、外に意識が向いていきます。
外に出ようかなという気持ちになっていきます。これが2段階目。

「友だち」が欲しい。
特にその気持ちが強い動機になって、引きこもりを脱する子が多いです。

 

フリースクールや居場所に行ってみようかな。趣味の場や習いごとに行ってみようかな。学校に行ってみようかな。

「友だち」に出会うために勇気を出して一歩を踏み出せるのです。
そしてまた「友だち」に会いたいからまた出かけていく。
そうして時間はかかるかもしれないけど、子どもたちは引きこもりから脱却していきます。

 

 

まずはお母さんの心からの理解
そして「友だち」
それが引きこもりから立ち上がる希望なのかなと感じます。

 

 

 

ホリスティックサロンアイラ主宰
ソレンセン式神経反射療法士
http://salonaila.com

NPO法人こころね 理事長
https://cocorone-chiba.jp/

白尾藍

 

◆これまでのコラム

HSCが抱える心身の不調〜むずむず脚症候群の小学生〜
HSCが抱える心身の不調〜朝起きられなくて学校にいけない…起立性調節障害(OD)
HSCっこの不思議な体験の話
HSCっ子の不思議な話〜戦争の記憶に共感する子どもたちから教えられたこと〜

HSC不登校 〜「明日は学校いく」「学校いきたい」の言葉の奥にあるもの〜
フリースクールは自由な発想で創る学校! HSCちゃんのらしさに合う学び場、居場所がたくさんあったらいいね

『よくわからない決まりごとが多すぎるのは疲れる。学びの本質ってなんだろう。HSCっこが教えてくれること』その①

➡『よくわからない決まりごとが多すぎるのは疲れる。学びの本質ってなんだろう。HSCっこが教えてくれること。』その②

writer:  白尾藍 

・ホリスティックサロン アイラ主宰:http://salonaila.com

・ソレンセン式神経反射療法士

NPO法人こころね理事長

 

 

・ホリスティックサロン アイラ主宰
http://salonaila.com
・ソレンセン式神経反射療法士
・NPO法人こころね理事長

関連記事