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うちの子育て奮闘記

「不登校、その子についていけば大丈夫。」~不登校1か月からの小規模特認校への転校

2020年11月16日

皆さま、こんにちは。大西愛です。
前回のコラムから、1か月半ほどご無沙汰してしまいました。

 

この間に、コロナ自粛明け登校渋りがあった小3の息子が、完全なる不登校1か月ののち、
小規模特認校面談、2週間の体験入学から転校いたしました。

 

これまでの34人のクラスから6人のクラス、自然いっぱいの穏やかな環境の学校にいくことにより、
体験1日目「学校に行けた!」の体験から、保育園時代から不登校がはじまるまで、
ずっとできなかった「みんなの前で自分の意見を言う。」ができた体験2日目。
そこから、新しい環境・ひとに慣れていくことで、
穏やかに緩やかに新たな学校生活をスタートすることができました。

 

もう本当にこの1か月、学校に行けない間は、私自身もこの世の果てを味わいました。

自分が元気がないのはともかく、子どもが元気がないと、母親っていうのは、こんなにも苦しいものなのですね。
この子の育ちを、わたしは何か違和感を感じながら、
ずっと大事なものを見て見ぬふりをしてしまったのではないか・・・そんな風にも考えました。

第二子で唯一の男の子であることもあり、夫に息子のことは、
なにかとお願いすることも多かったです。
本当の息子の気持ちなど、私は聞いたこともなかったかもしれないとも思いました。

同じ市内ではあるけれど、往復2時間の小規模特認校への送迎を毎日するにあたり、
夫婦関係も、見直しが必要でした。

深く深く、息子の感情、性質、才能に寄り添うために、
親も自分たちの感情、性質、才能に深く深く、そしてお互いに、向き合う必要がありました。

 

1か月の間に、息子は、手紙を3通書きました。

 

1通目は、転校前の小学校の校長先生へのお手紙

2通目は、転校した学校体験中に授業で両親に向けて書いたお手紙

3通目は、転校前の小学校のクラスの皆にこのままいなくなるのは感じが悪いから、挨拶したいと、書いたお手紙です。

私は、息子の登校渋りが始まってから、担任の先生と、
息子がクラスでどんなところに困っているか、都度話してきました。

具体的に困っている点、どうしてほしいかをお話しし、
言えることはお伝えしましたが、言えないこともありました。
言えない部分が解消されないと、息子は学校にはいけなかったと、今、思います。

 

学校に行くか、行かないか、毎朝この会話を繰り返し、
教室に入っても涙が止まらなくなってしまったある日、
廊下で校長先生にすれ違い、HSCのことを話すと
「HSC、知っているよ。どんなことで困っているかお手紙に書いてきてくれる?」
と校長先生から本人にお話ししてくださいました。

 

しかし、校長先生にお手紙を書くまで、
言語化できるまで3週間の日々が必要でした。

校長先生へお手紙が書けるようになった頃、
スクールカウンセラーさんの予約が1か月後にしか取れないこともあり、私と夫と息子と教頭先生にお話しにいきました。

 

担任の先生に言えないお話を伝え、保健室登校、相談室登校のお話しもいただきましたが、

息子はもう、学校には行く元気がなく、学校の話をすると、夜眠れなくなる。

そんな状態でした。「もう、行かないでいいよ。」とすると、眠れました。

とりあえず、毎日いただいていた「宿題の連絡は不要です。」ということと、

「行ける時だけ、連絡します。行ってそのときにやっていることを学ぶと、させてほしい。」とお伝えし、

その場は終了しました。

 

校長先生からもお手紙のお返事をすぐいただき、

「他の先生と一緒に、●●さんが心地よく過ごせるようにしていくよ」

と、温かいメッセージをいただきました。

 

教頭先生への面談、校長先生へのお手紙を渡すと同時に、

どこか子どもに合う場所を探さなくてはと思い、

お友達と話していて出てきた、学区外でも送迎すれば行けるという

小規模特認校のことを調べはじめ、校長先生に面談予約を取りました。

本人も行くといい、面談と学校内の案内をしていただきました。

 

 

夫婦と息子で行きましたが、少人数の穏やかな環境と、校内や校庭を流れている空気感に

「わー、ここはいいね。」

昨年デンマークの教育視察に訪問させていただいた時に感じた空気感を感じました。
自分の五感が喜んでいることを感じました。

夫も、「俺がここ行きたいわ。」と。体験をすることは本人の意思もあり、即決でした。

校長先生も息子との面談で、答えやすいように、3択で質問をしてくださったり、

校長先生に書いたお手紙の写真を見せて、

こんなことで今、困っていて学校に行けていないということを伝えると、
興味を持って寄り添ってくださいました。

保護者の話も聞いてくださいました。

 

見学中、自分の学年のクラスにも入り、息子が学校に行けなくなっていた原因のひとつで

ある「トランペット100個分の声がキンキンしている」ことに関して、

「トランペット何個分だった?」と聞いてくださいました。

 

その後の体験のときにも、毎日毎日会うたびに、「今日はトランペット何個分?」と聞い

てくださいました。

 

はじめは「校長先生、いつもいっぱい話しかけてくるから、いやだ。」と言っていた息子も、

「転校しようと思います。」と話した時の校長先生の表情が「うれしそうだったね。」と、

私はそこまで読み取れなかったのですが、息子は、感じたようで、

「そうか、そんな風に感じたんだね、よかったね。」と、ホッとしました。

 

トランペットの数も時間がたち慣れるにしたがって、減っていき、

週末に近づくと疲れもあるのか、増える時もありますが、
自分の許容範囲にはいつも収まっているようです。

「0個になる日も来ると思う。」と、本人も言っています。

 

のちのち新しい学校の先生からうかがうお話と、帰り道に息子が楽しそうに話してくれる話を聞いていて分かったのですが、息子は、単なる聴覚過敏ではなく、

先生の状態、感情、声の響き、周りのお友達の感情、状態なども深く深く感じ取っていて、

それらがすべて合わさって、トランペット100個分になっていたのだと、分かりました。

 

前の学校では、学校の話というと、

「周りのお友達がこんなこと言っててね、かわいそうと思ったとか、大変だなと思った。」とか、
そのような話が多かったなと思い出しました。

 

「今のクラスは、みんなにぎやかだけど、みんな笑顔だから、大丈夫。」と。

周りのお友達と共に、働く先生方も笑顔でいるということが、

息子にとっては、過ごしやすい環境なのだなぁと気づいたのでした。

 

私も、自分がぎちぎちに予定を詰め込んで働きながら子育てをしていたことを思い起こすと、

母の毛穴からでる不穏な空気を感じ取り、

息子に家でも共感を散々働かせて、

これまで「行きたくない。行けない。」と、言わせずに、

皆勤で学校に、行かせていたのかもしれないと、振り返ったのでした。

 

不登校の経験は子も親も本当に大変です。

学校への連絡から日々の対応、きょうだい間連鎖

夫婦関係。そもそも母親の自分もどうしたいか、わかっていない状態でした。

でもこれらは、彼らが今、

そんな風に家で本当の自分を出せるから
起きていることです。

受け止められる親、夫婦、家族、きょうだいだから起きていることだと思います。

渦中はとっても辛い、重い体験でしたが、

「不登校、その子についていけば大丈夫。」

そう唱えながら、一般的なレールに乗らない子育て、一般的なレールに乗らない家族関係

一般的なレールに乗らない感性溢れる子育て、家族関係、夫婦関係を作っているのだ。と、

認識し、子どもだけでなく、私自身が本当の自分の人生を選択していく機会になりました。

 

たまたま息子は一緒にいて心から安心できるお友達もいなかったため、不安材料がなく、

ぴったりの環境にすぐに出会え、新しい環境に飛び込めました。

 

この幸運に感謝するとともに、

すべての子どもがその子にあった環境で学べる事、

安心して過ごせる事、心から願っています。

 

そしてどんな子にも必ず自分に合う場所に出会う力があると信じています。

 

 

◆これまでのコラム

ひとはいるだけで完璧な存在〜HSCの子どもが教えてくれた美しい世界

中学生になってもひとりで留守番(自宅学習)ができない我が子への処方箋

HSS×HSC洞察系男子、学校に行けるようになったのは、母の完璧に宿題やるのが正しいという呪縛からの解放と、宇宙との会話のおかげ♪

「どう思う?私、できると思う?」と母は宇宙に聞いてみた

大人も子どもも、困ったときこそ、誰かとつながろう~子どものころから子どもは子どもの人生を生きるのが、当たり前になる社会を目指して。

HSCちゃん、環境や状況がその子に合っていれば、今を楽しむ力、ハッピーオーラもひといちばい!!

 

 

writer: 大西愛(13歳女子、9歳男子、7歳女子の母)

・病児保育士
・HSC/HSPメッセンジャー
・~親が楽になれば、子も楽になる~ https://note.com/a_haiji


photographer: 長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子 の母)

・日本パステルホープアート協会公認パステル和アートインストラクター

・HP: https://7iro-artwork.amebaownd.com
・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

 

 

 

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