2020年11月18日
わたしは、ソレンセン式神経反射療法のセラピストの傍ら、千葉市のNPO法人こころね理事長をしています。
こころねでは不登校支援としてフリースクール地球学校を開催しています。
ひといちばい繊細な感性を持つと言われるHSCちゃん。学校という刺激の多い場に馴染めずにいわゆる不登校になることもあります。わたしの肌感覚ですが不登校になる子の7割くらいは繊細な質を持っている子なんじゃないかと思います。
(みんなでかくれんぼ中)
先日のフリースクール活動のひとコマで子どもたちから言われたことにハッとした話です。
地球学校では、月に1度、森のキャンプ場で別のフリースクールさんと合同で自然体験教室を開いています。
その中で、理科実験のワークショップをやった時のことです。
火を使う実験のワークショップで、講師の先生は20人ほどの子どもたちを事前に4グループにわけました。
そこでわかりやすいように、ホワイトボードに4グループに分けて名前を書いて見せました。
グループごとに机に座ってもらい、実験が始まりました。
先生は注目してほしい時はグロッケンというキレイな音を奏でる楽器を鳴らすので、
この音が鳴ったら静かに話を聞いてください。と言いました。
少しざわめくことはあっても、グロッケンがなると子どもたちは静かに話を聞いて、
先生の実験ワークショップは順調に進んでいるかのように見えました。
ワークショップ中盤から、何人かの子どもたちが興味を失ったようにその場から離れることがありました。
フリースクールでは、無理に参加を強制することはなく、
参加するもやめるも本人の自由なので、よくある光景ですが、
その子どもたちの表情が固かったことが気になりました。
ワークショップが終わった後、お昼やおやつを食べてリラックスしている子どもたちに、
「さっきのワークショップ、どう感じた?」と聞いてみました。
1人の子が少し言い淀んでから
「正直に言っていいの?」と言いました。
「もちろん!みんなにとって心地よくするために、みんなの意見が知りたいよ。」とわたしが言うと、
子どもたちは口々に感じたことを教えてくれました。
「決まりごとが多すぎて、すごくストレスに感じた」と6年生の子が言いました。
「決まりごと?多かった?」と聞くと
「1番イヤだなと思ったのは、グループが勝手に決められていたこと。座る場所も決められていた。相談もなく、誰とグループになるか決められるのはイヤだと思う。」
確かに‼︎
火を使うので、リーダーになるような高学年の子と低学年の子を混ぜたグループを作りたい。と先生の意図があったのですが、その意図を子どもたちに説明せずにいきなりグループを発表していました…
座る場所もAチームはここ座ってね。と…
なんの疑問もなくやってしまっていました。
「あの楽器がいっぱい鳴るから、もうちょっと火をこうつけたいとか、ロウを垂らしてみたいとかやろうとしても、鳴っちゃうからやめて話を聞かなきゃいけなくて、それで途中でつまらなくなった」と別の子が言いました。
なるほど…グロッケンの優しい音色だから優しいなぁと感じてたけど、子どもたちの中には強制的に感じてる子もいたんだ。と改めて気づかされました。
「みんなが一斉に集まると座ってねって言われたり、後ろでお母さんたちがちょっと話してるだけなのを静かにしてくださいねって言われてたり、なんだか学校みたくて嫌だった。」とも。
いつも自然体験教室は自由活動がメインなのですが、今回は学びワークショップ形式を試みたのです。
講師の先生はスタッフの1人でもあり、とても子どもたちに寄り添う方なのですが、長年されてきた授業スタイルなのでつい静かにすることを優しい言い方で促されていたんですね。
そういうやり取りも見ている子がいて、学校みたいだと感じたのですね。
わたしもワークショップを後ろで見ていたのですが、子どもたちがザワザワしているのは感じていましたが、どうしてなのかまで気づけなかったです。
子どもたちから直接意見を聞いて、
やはり私たち大人たちには学校の一斉授業スタイルが染み付いているんだな。と気づかされました。
授業中は座っているもの。
授業中は先生の話を聞くもの。
授業中は静かに黙っているもの。
授業中は先生の指示に従うもの。
今回のワークショップは、優しくソフトだけどそれを促すところがあったのだと思います。
だから興味を失う子どもたちが出たんだなと思いました。
以前、フィンランドやオランダのグループワークの授業を動画で見たことがあります。
どちらの授業も子どもたちが主役で、先生は相談役、サポートに徹していたのが印象的でした。子どもたちはいきいきと学んでいた。
日本での授業は先生が主役になっていて、子どもたちは先生のパフォーマンスがうまくいくように付き合うというスタイルになっている。
それでいきいきと学ぶって難しいよなぁと思います。
今回子どもたちが教えてくれたことは、学ぶことの本質について見せられているような気がしました。
フリースクールでHSCちゃんと過ごせば過ごすほど、大人が子どもたちに教えることってほとんどないなぁと気づかされます。
子どもたちは環境さえ整っていれば、あとは勝手に学びます。
大人はそれを邪魔しないことだなぁと。
子どもたちの意見は、スタッフミーティングで話をしました。
スタッフみんな、確かに子どもたちの話は一理ある、変えていこうね。と反省しました。
話してくれた子どもたちには、
「みんなの意見はスタッフミーティングにあげさせてもらいました。今後改善していくことになりました。貴重な意見ありがとうございます」と報告しました(笑)
続きます。
◆これまでのコラム
➡HSCが抱える心身の不調〜むずむず脚症候群の小学生〜
➡HSCが抱える心身の不調〜朝起きられなくて学校にいけない…起立性調節障害(OD)
➡HSCっこの不思議な体験の話
➡HSCっ子の不思議な話〜戦争の記憶に共感する子どもたちから教えられたこと〜
➡HSC不登校 〜「明日は学校いく」「学校いきたい」の言葉の奥にあるもの〜
➡フリースクールは自由な発想で創る学校! HSCちゃんのらしさに合う学び場、居場所がたくさんあったらいいね