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インタビュー/世界は広いな大きいな

たくさん悩んで「学校に行くべき」という価値観を脱ぎ捨てたら 思いっきり視界が広がって楽になりました ~よりこサンインタビュー【前編】

2021年8月30日

よりこサン(zoomにてインタビュー)

 

 

 

沖縄在住で、家族全員がHSPのよりこサン。HSCの15歳次女ちゃんは不登校真っ最中
だけれど、みんなリラックスして本音を言い合い、笑顔あふれる日々を過ごしています。

そんなよりこサンも長らく悩み、苦しみ、不登校関係の情報を探し回ったり、
体験者の話を聞きに行ったりしていました。その体験が少しでも何かの役に立てばと、
ブログ、インスタグラム、stand.fm(ラジオ)を開始。

なかでもstand.fmは4か月で再生回数1万回以上を突破。
ユーモアと一緒に大切なことが伝わってくる、癒される、聴いた後は一日心地よく過ごせるとの感想がよせられ大人気です。

 

感性キッズでは、次女ちゃんの不登校前後のこと、よりこサンの接し方や心境の変化、
家族の反応などについて伺いました。

小学校時代は行き渋り 

―――次女ちゃんは小学校の時から学校が合わないと感じていたそうですが、
当時はどんな様子でしたか。

よりこサン:幼い頃から、自分のペースを乱されることや集団が苦手。

毎朝泣きながら登園し、おまじないのイラストを手に描いて送り出す日々でした。
そのこともあって、就学前から小学校とあわないのはわかっていました。
低学年のあいだは行き渋り。担任の先生に相談したら「お母さんが付き添えるなら遅刻でもいいですよ」って。
2時間目ぐらいから一緒に登校していましたが、付き添いめんどくさいなぁと思う時もたくさんありました。

 

 

―――登校したあと、次女ちゃんはどのように過ごしていたのでしょうか。

 

よりこサン:一人でいいやと思うタイプでした。
大人からはクラスメイトと楽しそうにしていると見えても、「あー、疲れた。気をつかうからしんどい」と言っていて。
偏食&小食のため、残さず食べなさいと言われていた給食は今でもトラウマです。
そして「迎えに来て」と泣くので毎日お迎え(笑)。

様子を見ながら、待ち合わせ場所を少しずつ家に近づけて行く作戦を実行しました。
教室の前から下駄箱、校門、公園の前、家の手前の坂道の途中、家の前。
次女の分の家の鍵を作り、「これで自分で開けて帰ってこれる?お母さんは部屋のなかで
待ってていい?」と聞くと、自分の鍵を持てたのが嬉しかったようで、笑ってOK。
それが3年生の時でした。

 

 

 

 

―――2年以上、毎日付き添ったよりこサンの根気強さに驚きます。なかなかできない
ことだと思うのですが、どうして次女ちゃんのタイミングを待てたのでしょうか。

 

よりこサン:周りからは過保護だ、甘やかしてるなどいろいろ言われましたが、次女は絶対的な安心と安全のなかでしか動かないし、納得しない。でもそこをクリアできたら大丈夫だとの確信がありました。
次女のペースに合わせるのがイヤになる時もたくさんあった
けれど(笑)、この確信があったから待てたのだと思います。

 

―――どうやって確信を持ったり、その心境を保ち続けたりできたのでしょうか。

 

よりこサン:次女のたくさんの引っかかりをそばで見てきたのは私で、周りの人じゃない
ですよね。ここが大切だなと思っていました。

例えていうなら、次女は野生動物。
野生動物って、ちょっとでも強引に引っ張ると巣穴に隠れてしまうでしょう(笑)?。

無理強いしないで、少しずつ少しずつ信頼関係を築いていきました。大丈夫、安心していいよと繰り返し伝えていた感じです。
待てなくてこっちのペースに巻き込み、振り出しに戻るを何回も体験しましたよー。
だからこそ、待つ方が近道なんだなとわかったのだと思います。

 

 

 

―――「たくさんの引っかかりをそばで見てきたのは私」。世間から言われることではなく、自分の感覚を信じていいのだと背中を押してもらえた気持ちです。

 

 

よりこサン:子どもや周りと対立するより、子どもの状態を受け入れて、自分の感覚を信じる方が近道。受け入れるためにも、好きなドラマを見たり、スタバに行ったり、一人で自分のやりたいことを満たす時間を必死で確保しました。
これさえクリアすれば一人になれる、好きなことができる。それを支えにして気持ちを保っていました。

 

 

 

―――少しでもやりたいことができたら、自分の気持ちに余裕が出るかもしれないし、相手の状態を受け入れるスペースができるかもしれませんね。そのためにも、何より自分を大切にするためにも、親がやりたいことを我慢しなくていいいし、罪悪感を持つ必要もないですよね。次女ちゃんが高学年になってからの様子はいかがでしたか。


よりこサン:ほんと、自分のやりたいことをする時間は大切だと思います。
高学年になってからは、ため息をついたり、しんどそうにしていましたが、だいぶスムーズに登校できました。だんだん覇気のない感じ、死んだ魚のような目になっていったのは
気になっていたけれど、家のなかでバランスを取っているのかなと思っていました。

 

 

―――その後やってきた転機が、中学校受験。6年生の夏休み前に、次女ちゃんが
「私立受験してもいいかもなぁ」と言い出したそうですね。

 

よりこサン:そうなんです。自分から何かをやってみる!と言い出すことがほぼなかった
ので、すごく驚きました。でも、驚いた様子は野生動物には刺激が強いので(笑)、
落ち着いた態度をよそおって理由を聞いたら
「新しいところに慣れるまでには時間がかかる。3年後に高校受験してまた環境が変わる
より、6年間で慣れる方がなんとかなるかもしれない」と言ったんです。

 

 

―――しっかり理由を説明できたのですね。正直なところ、6年生の夏休みは受験勉強を
始めるには遅いと言われています。

 

よりこサン:そうなんですよね。大急ぎで受験準備をしていくなかで、一般入試より推薦がいいかもと担任の先生に相談。そちらに舵を切りました。
超がつく人見知りで知らない人と話すのはハードル高いのに、親子面接も頑張り、無事に
合格できました。お金もたくさん出ていったけれど(笑)、
次女が人生で初めて自分からチャレンジしたことが誇らしく、本人も嬉しそうでした。

 

 

中学校入学直後に燃え尽きた 不登校幕開けになった登校3日目

           

次女ちゃん作  気持ちよさそうに眠っている猫

 

 

 

 

―――中学校に入学してから3日目。次女ちゃんの不登校が始まりました。

 

よりこサン:スーツのようにピシッとした、窮屈な制服。ピーンと張りつめたクラスの空気。通学は超満員のスクールバス。
入学後にわかった不安要素はいくつもありました。

初日は疲労困憊し倒れるように寝て、二日目は朝食を食べず、家を出る時間ぎりぎりまで
トイレを行ったり来たりしていました。帰宅後は晩ごはんも食べず、何度もトイレに通い
すすり泣き。どうか乗り越えますようにと祈るような気持ちでずっと背中をさすっているうちに、すすり泣きが寝息へと変わりました。

 

―――そして3日目の朝。

よりこサン:今思い出しても、みぞおちの奥がきゅーっと締めつけられる感覚がよみがえります。目を覚ましている気配はするのだけれど、何度声をかけても起き上がってこなかったんです。
「どうした~?まだお腹痛い?行けそう?」
「……………」
「嫌なのはわかるけど。休むとますます行くのがきつくなっちゃうよ?頑張って行こう?」
「……………」
次女はしくしく泣きだしました。
そばで見ていた夫が力ずくで抱き起し、
「こんなんじゃダメだろう!そんなんで、どうやってこれから先、生きていくんだよ!
さっさと準備して行けよ!」と声を荒げました。
横で聞いていた私も、そうだよね、それが正論だよね。ここで甘やかしたら次女のために
ならないよねと思いました。
でも次女は夫の手が緩んだすきに、また逃げるように布団にしがみつく。
それを夫が力づくで引きはがそうとした時、何かが違う!何かわからないけれど
違う!違う!そうじゃない!!と非常ベルのような音が頭で鳴り響きました。
「待って!」と次女と夫の間に入りこみ、「今日はとりあえず休ませる。よく話を聴いて
みるから。力づくとか、無理やりとかじゃないんだ。お願いだから待って。」と言いました。
夫は、「お前、お母さんに助けられたな。ありがたいと思えよ!」との捨て台詞を残し、
仕事に行く準備をするため次女から離れました。

 

―――ここで甘やかしてはいけないと思っていたのに、「そうじゃない!」と止めることができたのは、どうしてだったのでしょうか。

 

よりこサン:当時はわかりませんでしたが、振り返ってみるとあのざわざわした「そうじゃない!」は、一つひとつ引っかかりにつきあい、築き上げてきた信頼関係が台無しになってしまう。暗黙の了解であった「次女を待つよ」が振り出しに戻ってしまうと身体がわかったからこその「ざわざわ」だったのだと思います。

 

 

 

―――先生たちに相談した結果、「教室が無理なら保健室や図書室で過ごしていいし、
本人が帰りたいと言うなら帰られてください。ゆっくり行きましょう」と言われ、
不登校を選択するまでの1か月、ずっと付き添ってらっしゃいました。
その間、どのようなお気持ちでしたか。

よりこサン::朝の始業時間から登校できたことはなくて、泣く、トイレを行き来するを
次女の気が済むまでしてから登校に付き添っていました。
次女が学校にいる間は、一階の事務局前に座って待ったり、周辺のカフェで時間をつぶす日々。
下校時間までいられることはなく、2時間過ぎた頃に決まって担任の先生から「帰りたいそうです」と電話が入りました。
寄り添うんだと決めていても、イライラして怒ってしまう時がありました。
「苦手なのは知っているけれど、多かれ少なかれ誰だってそうだよ!そこは踏ん張るんだよ?こんなにも閉ざしていたら、これから先どこへ行ったって無理じゃん!ちょっとは頑張ろうよ!」
次女の答えは「頑張っているんだよ……。でも無理なんだ。」
ふたりで泣きました。

 

 

「そうだよ。頑張ってきたんだよ、次女は。」

 

―――そんなある日、次女ちゃんとスクールカウンセラーの女性が話す機会が
やってきて、よりこサンの転機につながったそうですね。
その時のことをくわしく教えてください。

 

よりこサン:いつものように迎えに行ったら、優しそうなスクールカウンセラーの女性と
次女がいました。お礼を言って次女と帰路についた時に「どんな話をしたの~?」と聞くと、
「小学生の時から学校が苦手でキツかったと話した。そうしたら、今までよく頑張ってきたんだね~、えらいね~、すごいね~って」と満面の笑みで教えてくれました。

「そっか、頑張ってきたのか、次女は。」と言うと、
「そうだよ。頑張ってきたんだよ、次女は。」とドヤ顔をしてきました。
その瞬間、私のなかで何かがストンと腑に落ちたんです。

 

 

―――何が腑に落ちたと感じたのでしょうか。

よりこサン:そうだよな、次女はずーっとイヤだと言っていたじゃないか。
ずっと死んだ魚のような目をしていたじゃないか。
学校は行って当たり前だと誰が決めた?次女の気持ちに寄り添うと言いながら、結局世の中の集合意識や同調圧力の方に寄り添っているじゃないか、って。もうやめよう。次女が安心して笑っていられる。それ以上何を望むのだろう?
そう思い、その日を境に一切の登校刺激をやめました。
すると、少しずつ次女の目に光と力が戻ってきたんです。

長くなりましたので、つづきは明日、お楽しみに♪

 

 

 

 

 

 

 

🔶よりこサン情報

①ブログ

HSP☆超感覚人間家族☆~笑ってればなんくるないさぁ〜 (ameblo.jp)

 

②Instagram

よりこサン(@yoriko1719) • Instagram写真と動画

③stand.fm

・不登校次女ちゃん小学生~中学生時代
不登校次女ちゃん小学生時代〜中学入学 – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm

 

・HSPを家族に伝えてみたよ
HSPを家族に伝えてみたよ(´∇`) – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm

 

・重いリュック背負ってるの気づいてる!?
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・明日が大嫌いだった次女ちゃんの話
「明日が楽しみ🎶」そんな毎日送れてますか? – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm

 

・次女ちゃんの近況
我が家のスティーブ・ジョブズとウークイと(*´艸`) – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm

 

・今の学校との関わり
不登校次女ちゃんと校長先生に会ってきたよ〜ん – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm

 

 

「あやかるの耳ぐすいラヂヲ」 よりこサン ゲスト出演

・HSPについて

前半#31-1 あやかるの《ちょっとぐわぁ聞かせて》LIVE ~前半~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm

後半#31-2 あやかるの《ちょっとぐわぁ聞かせて》LIVE ~後半~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm

 

・不登校について

前編

#33-1「不登校について(前編) 」~あやかるのちょっとぐわぁ聞かせて~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm

後編

#33-2「不登校について(後編)」~あやかるのちょっとぐわぁ聞かせて~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm

 

 

 

 

◆これまでのコラム&インタビュー

HSCちゃん、父との会話で才能を磨いていく

HSCちゃんの嵐の反抗期!そのあとに・・・

【インタビュー】『君が君らしくいられる』それが何よりも大切なこと~学校がすべてじゃないんです

【インタビュー】「八方ふさがり」そう思ったときでも、情報があれば望む方向へ進んでいけます

『ありのまんま そのまんまの自分でいられる』そんな世の中になっていくように種まきをしています ~藤田恵理さんインタビュー

 

writer/interviewer :  村上泰子(16歳女子、14歳女子の母)

・アロマメディテーション セラピスト
・Webライター
・香りは人生の羅針盤  自分の本当の気持ちがわかるアロマメディテーション
 https://ameblo.jp/iroha1227-1031/
・Facebook:https://www.facebook.com/yasuko.murakami.311


photographer: 長束加奈(11歳男子、9歳男子、7歳男子の母)

・日本パステルホープアート協会公認パステル和アートインストラクター

・HP: https://7iro-artwork.amebaownd.com

・instagram: https://www.instagram.com/kananatsuka

 

 

 

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