コラムColumn

うちの子育て奮闘記

「食べる」は安心という心の土台に支えられている〜給食ぎらいな子どもの支援~澤田久実子さん

2022年6月9日

こんにちは。感性キッズ事務局です。

今日は、

栄養士で、心の土台を育むお部屋作りコンサルタントの澤田久実子さんのコラムをお届けします。

◆偏食持ちの息子たち

私には HSC の息子が2人います。 タイプの違うどちらも偏食持ちの HSC 君です。

 

特に長男は感覚が過敏で、 お米の種類が変わったり炊飯器が変わったりも当てます。 彼の中ではソーセージやハムなどメーカーごとに味が違い どうも彼にとって苦手なものがあるらしく 決まった1つのメーカーのものを食べ続けています。 高級なものでないといけないというものでもありません。

・バターよりマーガリン。それもメーカー限定。 特別感はなく、よくスーパーに並んでいるものです。

・牛肉も霜降りというよりヒレ肉が好み。

・ 鶏肉はささみや胸肉などは油が少なすぎるけど モモ肉はそのままだとジューシーすぎるらしく そぎ切りにして薄くすると食べてくれます。

・ 生姜焼きのお肉だと厚すぎるから しゃぶしゃぶ用のお肉くらい薄いのを好んで食べます。

・厚みによって味が変わるらしく、 食パンは6枚切り限定で食べます。 同じ食パンでも4枚切りや5枚切りだと食べてくれません。

彼によると食べる方向によっても味が違うらしいです。

本当に味に敏感で食べるものを探すという作業で 偏食を調理して克服なんて感じではありません。

 

 

次男も負けず劣らずの感覚過敏からの偏食です。

 ・匂いに敏感に反応し、食器の臭いに反応し 温度に敏感に反応します。

・ きゅうりの青臭さや玉ねぎの刺激に反応して 調理中に出くわすと走って逃げます。

・茹でた時のしいたけなどきのこ類の臭いも苦手です。

・小さい頃はマグのゴムの臭いが苦手だったのか なかなかお茶を飲んでくれませんでした。

・食器を布巾で拭いたら臭いと使いたがらないので ペーパータオルで拭いています。

・そして他人と同じ食器は使いたくない潔癖な所があります。

・給食は運ばれてきた時には冷めているので 不味いと食べようとしません。 彼が云うには冷めたものは 「別の料理」という感覚だそうです。

 

二人とも超偏食ですが、 病気知らずで、殆ど病院に行っていません。

 

今思えば食べられるように頑張っていた時の方が 風邪や発熱と、病院のお世話になっていたように思います。 実は私は栄養士の資格を持っています。

2ヶ月に1回くらいのペースで 未就園児の栄養相談員として活動もしています。

どちらかというと「お料理大好き♫」な部類です。

 

 

◆食べることに対する感じ方

 

だけど彼らの現状を把握していると 調味料での味付けの前に 感じ方を考慮しなくてはいけない現状がありました。 同じ食材を食べていても感じている味自体が どうも私とは違うということなのです。

栄養士だけど市の栄養相談に申し込み、 話をしてみるも参考になるような話は得られず、 どちらかというと言われることをすると悪化する状態でした。

 

小学校に上がる時に、やっぱり給食のことが心配で 長男の担任の先生に時間を作ってもらったのですが、 その時に学習面での心配事を話していたことから 支援級の先生も同席していたということで 感覚過敏からの偏食というものを知りました。

 ・ほぼ食べられないので食べられるものを伝える

 ・野菜はほぼ食べない

・ポテトフライなら食べる(細いもの限定)

・食パンと白ごはんで生きている感じ

・揚げ物なら何とか少しお肉を食べる

・メーカーによって食べられる 食べられないがある

・揚げ加減 焼き加減で食べなくなる

 

それ以外にも色々話をしたのですが、 支援級の先生が「ありますよね~」と 普通に頷いて下さったのです! 全ての事において「ありますよね」と。

・ポテトフライは食べられるお子さん多いですよ

・野菜食べないお子さん多いですよね

・同じものばかり食べていますね

・食パンやご飯に加え麺類など炭水化物傾向ありますね

・揚げ物が一番食べやすくて煮物など食べられない傾向ありますよ

 ・同じメーカーなど慣れたものを好みますね 冷凍食品や外食など同じ味が安心だから食べたがりますね。

・細かい違いが分かるので焼き加減や揚げ加減で 食べられないことはあります。 中にはパン粉の目が粗いとイガ栗を食べたように 口の中に棘が刺さる感じがするというお子さんもいます。 だけど細い目のパン粉にしたら食べられたりします。

 

こんな風にして全て肯定的に相槌を打ってもらえたのです。

 

「わかってもらえた~!!」という安心感に包まれました。

 

 今まで何人もの栄養士さんに聞いても ヘンな顔をされていたけど、やっぱり間違いなかった。

やっぱりワガママではなかった!!

今まで何かおかしいと思い、観察し感じていたことを 気のせいとか考え過ぎという感じで 受け止められていたけど間違いじゃなかった。

その時に自閉症スペクトラム傾向のお子さんに 感覚過敏からの偏食が多いと教えてもらいました。

その時担任の先生も同席してくれていたこと、 その担任の先生の対応がとっても素晴らしく ほぼ白ごはんしか食べられない長男の給食は 予想以上に安心の場所を確保した中で進んでいきました。

 

 

 

◆長男に与えられた「安心の場」

 初めは様子を見ていた担任の先生は 息子の食べられない現状を見て対応を変更して下さいました。 「この中で何やったら食べられる?自分で入れてみて。 少し頑張ったら食べられるものはある?」

こうやって、本人が少し頑張ったら出来そうなラインを 自分で設定しチャレンジさせて下さいました。

そしてそのチャレンジは牛乳を舐めるだけから始まり

牛乳一口であっても全身で大喜びしてくれたのです!!

 

息子は家に帰ってきてその嬉しさを私に報告してくれました。 「牛乳が一口飲めるようになったよー!!」 とっても目をキラキラさせて教えてくれまました。

 「ほんと~良かったね!」と その時私は返事をしていましたが、内心一口だけかと思っていました。 たった一口とその頃の私は思っていました。(反省★)

 

先生は本当に大きく感情を分かりやすく伝えてくれる方で 周りの子どもたちもいっしょに飲めたことを 「おめでとー」「オメデトウ♡」と伝えてくれるようになりました。

世話焼きの女の子が「お野菜食べや~」と 言ってくることはあるのですが 基本的に温かく見守ってもらえる環境だったと思います。

 

◆修学旅行で「食べられない」を乗り越えた事件!

そんな調子で6年生になり修学旅行のことです。

やはり連泊となると食事時の問題があると、 担任の先生とメニューを見ながら相談をしました。 カップラーメンなど食中毒になりにくいものなど 持ち込み OK。

現地調達も OK。

別メニュー等の対応は出来る範囲で考慮しますというものでした。

本人に伝えると、友人たちと違うメニューを食べるのは嫌との事。 自分だけ特別なことはして欲しくないという事でした。

だけど、出されたものを残すことを申し訳なく思っていて

 

「僕が食べられへんから…(ごめんなさい)」という感じでした。

 

 だけど当日起こったことは、何も知らない店の人に 「何で食べないのや」と息子が声をかけられたのですが 友人が「おっちゃん、この子は食べられへんからいいねん!」 と、

店の人に話してくれて更に 「お好み焼き俺が食べたい!もらっていい?」 と言い出し、

みんなでペロッと食べてくれたのです。

 

第一関門突破です!!

 

残さず店の人に迷惑をかけずに済みました。

そして持ち込んだ食べ物ですが、 みんなの前では食べたくないと気にしていたのですが (なんなら食べずに持って帰ってくる感じ) 入浴時間でみんなが慌ただしくしている時に 先生がこっそり声を掛けて下さり 先生たちの部屋で食べることが出来ました。

本当にほとんど食べられない息子なのですが 周りの温かい見守りの中、給食が問題で 学校に行きたくないということはありませんでした。

全く何もなかったかというと嘘になります。

無理やり口の中にという事で吐いてしまった事もありました。

だけど、誰かが味方になりそばにいてくれていたと聞いています。

何かあった時に「守ってもらえる」「分かってもらえる」 安心安全の場所が大きな支えになっていたと感謝しています。

 

 

◆食への安心の場がなかった次男の場合

 

それに反して次男のケースはと言うとその逆で、

長男に比べて食べられないものは少ないのですが、 残念なことにタイミングの悪いことが続きました。

 

冷めたら食べられないタイプの息子にすると、 慣れていない1年生の給仕だと食べられる頃には冷めていて不味い。 騒がしい学年だった為、加配の先生も大忙しだったのか、

勝手に苦手なふりかけをかけられて口にご飯を突っ込まれたり

無理やり食べさせられた事が多々あったようで、 息子の口からは恨み節しか出てきませんでした。

 

 

1年の1学期で既に行き渋っていたので 辛い思いを長くしていた訳ではないのですが

給食を嫌がっていました。

2年生になった時には既に学校には行っていない状態だったのですが ちょっとずつ頑張って行くようになった時に、担任の先生が 「お弁当があったら午後も参加出来るなら、お弁当持っておいで!」 と、提案してきたのです。

「他の生徒にはどう説明しているのですか?」と聞いてみたら 「小2の子に話しても分からないから話しません。 けどみんなに『いいよな』って聞いたら 『うん』って言っているから大丈夫です。」と言うことでした。 少し不安に思いましたが、 その時は先生の指示に従うことにしました。 何故不安かというとその先生は完食指導をする先生だったからです。 息子のお弁当は食べられるものしか入っていません。 だから遊びに行けないということはありませんでした。

息子以外の子どもは全部食べ終えるまでは遊びに行けませんでした。

食べられなくて困っている子も沢山いました。

子どもたちは先生のいる前では何もしませんが 放課後集まった時には嫌がらせをするようになりました。 それも一番仲の良かったお友達からされるようになりました。

そのお友達のママさんとは仲良くしていたので、 どういう状況で何が起こったのかも聞いていたし、 親が「謝りなさい」といえば謝ってはくれますが 親が見ていないところでは嫌がらせが続いていました。

 

 

 言っていることと行動が違う友達を見て次男は 「信用出来ないから友達はいらない!」と、 外との繋がりを持たなくなりました。

今の私なら担任の先生に「お友達に説明させて下さい」とも言えるし 先生に説明して欲しいと言えるのですが、その頃は言えませんでした。

ベテランの先生に意見する程自分の意見に自信がありませんでした。

 結局そういう事があって行き渋り再開。 そして最終的には「ホームスクーラー」という選択を本人がするのですが 学校での給食に対して次男は良い感情を持っていないという感じです。

 

◆食べられる、は安心の場に支えられている

 

 こんな風にして食べられない物が多い長男でも 周りのみんなに助けられ給食を乗り切ったこと。

 

 食べられない物が長男ほど多くなかった次男は 周りからの理解がなく嫌な思いをしたこと、というように 食べられないことを理解してもらっているか、受け入れてもらえているか 安心安全の場が確保できているかが重要になってきます。

 

食べられるものが多いから「給食が怖い」とか「困っている」という 単純なものではなく、食べられないという事で どういう体験をしたのかが食べることへの恐怖に繋がっていきます。

 感覚過敏の偏食での対応は、食べ物への感覚の過敏さから 通常のお子さんより食べられないケースが多いですが それが長引く原因には環境やその時どう感じたかが引き金になります。

 

 

 

 だから全部食べると言うのをゴールとするのではなく、 美味しく食べられたかどうかをゴールにしてもらえたらと思います。 そしてチャレンジをさせるのなら、 そのチャレンジを本人に決めさせてあげると良いのではと思っています。

やらされてするチャレンジほど身にならないものはないからです。

やらされて勝ち得た成功は本人の成功ではなく やらせた人の成功になります。

 するのであれば本人に決めさせて 「出来た!」という成功体験を味わわせてあげて欲しいと思います。

 

◆偏食の子に必要な応援

 

牛乳を一口チャレンジから進めた長男は一学期終わる頃には 牛乳が飲めるようになっていました。 相手をまるごと受け止め、ありのままで OK というスタンスでいると 出来ないことにもチャレンジしてみようという POWER が湧いてきます。

食べられないことが悪ではありません。

全部食べられることよりも先に重要なことは安心安全の土台。

安心安全を感じた状態で食べないと消化吸収力も低下し 正しく栄養素を獲得できないことにも繋がります。 まずは楽しく美味しく食の時間を楽しむことからがスタートです。

だからチャレンジしないという選択肢も OK です。 そういう時はチャレンジできるようになるまで 温かい目で見守ってもらいたいと思っています。 チャレンジしても大丈夫という安心安全を感じられるまで その子のタイミングを待ってあげてもらいたいと思います。

 

給食で苦しんでいるお子さんがおられたら 担任の先生と話をして、安心安全の環境を整えてあげて下さい。

感覚の過敏さなどで通常より多く偏食を抱えている場合は その辛さをどのくらい辛いのかを理解してもらうこと。

赤ちゃんが産めない男の人に 「お尻の穴からスイカが出てくる感じ」なんて伝えたりしますよね。 経験は出来なくても大変だということが伝われば 辛さに寄り添ってもらえると思います。

お子さんが笑顔でみんなと食事が出来るといいですよね♡ 美味しいものを食べた時って、皆さん笑顔になりますよね。 家族が笑顔で食卓を囲む家ばかりだったら 自然と世界は平和になるだろうなんて思います。

 

ご家族で楽しくお食事してみてくださいね。

 

 

 

writer : 澤田 久実子 

・心の土台を育むお部屋作りコンサルタント
・リバウンドしないお部屋作りが得意お片付けサポーター
・HSPを正しく伝えるHSP/HSCメッセンジャー&スペシャリスト
・感覚過敏による偏食対応アドバイザー&栄養士

・くんたんのほっこりたいむ(ブログ):https://ameblo.jp/kuntan24/

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