2022年6月28日
今回は自己開示的なコラムになります。
わたし自身の敏感性の話を書こうかと思います。
わたしは身体の感覚がおそらくとても敏感です。常に身体の内部の働きを感じていて、それが痛みとも痒みとも痺れとも表現しきれない感覚を持っています。
例えば… 心臓の拍動や血管の血液の流れを感じる。 呼吸と共に呼吸器が動くのを感じる。 体内の水分量を感じる。 食べたものが消化される時の胃や腸の動きを感じる。 筋肉の収縮や弛緩を感じる。 経絡上に気血の流れや滞りを感じる。 皮膚の表皮の傷にならない刺激やエネルギーを感じる。 生理中は子宮が収縮するのを感じる。 etc…
あげるとキリがないのですが、さまざまな刺激、感覚を常に感じています。
これらの感覚を単純な言葉で表すとすると、痛い、重い、息苦しい、痒い、しびれるなど、どちらかというと不快を示す表現になると思います。つまり、常に身体のどこかに不快感があるということです。
これはわたしが生きる上で結構な足枷でした。
若い頃から常に身体が疲れているし痛いし重い。身体が軽くなんともない状態なんて年に数日あるかないかくらいです。
無理が効かないので、バイトの後に友だちと遊んだり、徹夜したりが本当にキツかった。食べ飲み放題も苦手。食べるとその後がキツいので食事自体あまり好きじゃない。無理するとすぐに肌荒れする。アレルギー症状が出る。お腹を壊す。 周りの友人たちと比べては遊べない動けない自分が本当に嫌でした。厄介な身体。
でもなぜわたしだけがそうなのかはわかりませんでした。
他人の感情が身体の感覚を通してわかる気がするのも子どもの頃から感じていました。なぜかわからないけど、目の前の人の心について、身体や内臓が話しかけてくるような気がするのです。
ざっくりした例をあげると、悲しみや苦しみは肺や気管支の感覚で、怒りは腹部で、恐れは背部、傷ついた痛みは心臓、緊張は筋肉や胃腸の感覚から起こります。 その感覚に意識を合わせていくと、その感情についてより深くわかる気がしました。
でも、その感覚をわかったことを口に出すと嫌がられるのは子どもの頃の経験上知っていたので、滅多には口に出さずにいました。 親しくなって悩みを相談されたり、ケンカする時に、うっかり口にしてしまうことがあると、当時の親友や彼氏に気味が悪いと言われて関係が壊れたことも何度かありました。安心できる人間関係を持つことがとても難しかった。
自分でも自分のことが気味が悪かったし(霊感とか超能力かと思ったり)、他人の見られたくない部分をのぞいているような罪悪感もあって、そんな自分を誰にも知られたくなくて、感覚を麻痺させてぼーっとしてるように装って、気づかないフリをして取り繕って生きていたと思います。 それくらい自分で自分の感覚が怖かったのです。
それが大きく変わったのは、13年前に身体の勉強を始めた頃からです。 娘の病気をきっかけに身体のことを知りたいと思い、消化や呼吸など解剖生理学を学んでいくことで自分の感じていた身体の内側のあらゆる不快感の原因がわかり始めました。
単なる痛みや重さではなく、これが内臓が働いている感覚だとわかる感動と共に気持ちが楽になっていきました。 神経反射療法を学び、脳のことや神経のことや経絡のことを理解するごとに、身体全体の繋がりを知り、なぜそういう感覚が起こるのかも理解できるようになりました。
そして、心理や感情、トラウマについて学んだり、HSC、HSPについて更なる学びを深めながら、自律神経、内受容感覚やミラーニューロンシステムとの関連性を知って、自分が感じていたことの多くに説明がついた今は、安心して生きられるようになっています。
身体の感覚は相変わらず敏感ですが、それはわたしにさまざまな情報を知らせてくれるセンサーとして捉えられるようになっています。そう捉えると、以前ほど痛みや重さとして感じなくなりました。
10年前から神経反射療法士や民間カウンセラーとしてセラピーを提供し始めてからは、自分の敏感な感覚をフルに活用し、それが仕事になっています。 目の前のクライアントさんの状態を自分の身体に部分的にコピーすることで抱えている不調や抑え込んでいる感情を捉える。 また、反射区や経穴に触れた時の指先の感覚から、クライアントさんの不調の状態を捉える。 それらの感覚から得られる情報と、わたし自身の経験や知識が組み合わさって導き出したアドバイスをしていく。そうやってカウンセリングと施術を組み合わせてやってきました。
これまでのべ3,000人ほどセラピーさせていただいた中で、自分の感覚が気のせいではなかったことを何度も認識して、自分の感覚を信頼するようになりました。神経反射療法は週一回以上の頻度で通ってもらうことが推奨されていますが、わたしの場合は月1〜2回の頻度でクライアントさんの状態が良くなっていく。そういったことも、自分の感覚への信頼へ繋がっていきました。
身体や心が楽になった、生きやすくなったと言ってくれてクライアントさんの役に立てている実感が積み重なるごとに、自分自身の敏感性をポジティブに受け入れ認められるようになっていきました。 受け入れ認められるようになってからは、その感覚は更に磨かれていきました。
今は、感覚を研ぎ澄ます時とスルーする時のコントロールがある程度できるようになっています。自分の感覚の正体がわかったことと、感覚を冷静に捉えられるようになったことでコントロールできるようになったのだと自分で分析しています。 身体の感覚が感情を呼び起こすので、感覚を冷静に捉えられると感情が暴走したり感情に飲み込まれにくくなります。 その身体の感覚が自分のものか、他者のコピーなのか、その差異がわかると、混乱することもなく他者との境界線を認識することもできます。
このあたりのことができるようになったことで、強い敏感性を持ちつつも、それを強みとして活かして生きやすくなったのだと思います。
特殊な例かもしれないけど、HSPの敏感性を能力として活かしている例として書いてみました。
と、ここまで書いてきて、これは敏感性を持つ人じゃなきゃなかなか理解や共感はできないかも…と思いました。
実は、Facebookに投稿しようと思って書き始めたのですが、一般的にはマニアックすぎるかも…と思い直し、HSPさんが読者層の感性キッズのコラムとして書くことにしたのでした。 中には突拍子もないことやオカルトちっくなことを書いていると思われる方もいるかもしれません(笑
でもね、神経学や心理学の分野では研究されていることでもあります。 将来的には科学的にもどんどん解明されて認知されていくんじゃないかしら。 そんな確信もあって、長年気味が悪いと思ってきた自分の感覚のことを開示できるようにもなっています。
◆これまでのコラム
➡HSCが抱える心身の不調〜朝起きられなくて学校にいけない…起立性調節障害(OD)
➡HSCっ子の不思議な話〜戦争の記憶に共感する子どもたちから教えられたこと〜
➡HSC不登校 〜「明日は学校いく」「学校いきたい」の言葉の奥にあるもの〜
➡フリースクールは自由な発想で創る学校! HSCちゃんのらしさに合う学び場、居場所がたくさんあったらいいね
➡『よくわからない決まりごとが多すぎるのは疲れる。学びの本質ってなんだろう。HSCっこが教えてくれること』その①
『よくわからない決まりごとが多すぎるのは疲れる。学びの本質ってなんだろう。HSCっこが教えてくれること。』その②
「お母さんの心からの理解」と「友だち」は引きこもりから立ち上がる希望