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うちの子育て奮闘記

フリースクール探しのヒント ~ウチの子にフィットする居場所って?~

2021年1月28日

これまでの経緯

【HSC息子達の選んだ積極的不登校への道】
その1
その2
その3
その4

 

 

今回は、我が家のフリースクール探しの経緯について綴ります。

 

フリースクールと一口にいっても、色々なタイプがあります。

 

学校復帰が目標のタイプ、子どもたちの居場所タイプ、自宅訪問タイプ、共同生活をするタイプ、

また、専門家や医療機関と提携してサポートするタイプもあるようです。

 

2017年、金沢市立の小学校に在籍していた頃、まず学校側から提示されたのは、
行政が用意している「適応指導教室」でした。

 

この「適応指導教室」というのは、ウィキペディアによると、

「市町村の教育委員会が、長期欠席をしている不登校の小中学生を対象に、学籍のある学校とは別に、市町村の公的な施設のどこかに部屋を用意し、そこで学習の援助をしながら本籍後に復帰できることを目標に運営している教室」とあります。

 

教頭先生からご紹介いただいた日に、そのHPを息子達に見せてみたものの、

「行かない」と、即答されました。

 

当時、金沢市内には、居場所タイプのフリースクールが3つあり、

そのうちの1つに体験に行き始めた時期だったこともあって、

学校復帰を目標とする場所には、全く興味を示しませんでした。

 

我が家の息子たちは、安心して過ごせる居場所タイプのフリースクールを望んでいたのです。

 

2017年10月、体験に行っていたフリースクールに正式に通い始めたものの、
夫の転勤に伴い、2018年3月で、やむなく退学することに。

 

2018年春、関西でのフリースクール探しが始まりました。

 

まずは、「フリースクール+地域名」で検索をしまくりました。

その中で、最も注目したのは、西宮サドベリースクールでした。

 

サドベリースクールというのは、アメリカ・ボストンにあるサドベリー・バレー・スクールに共感し、同じ理念のもとで運営している、世界中の学校の総称です。

2018年の段階で、世界には約50校のサドベリースクールがある、とのことでした。

別名、デモクラティックスクールとも言われます。

 

サドベリースクールは、フリースクールと類似していますが、明らかに異なる側面もあります。

中でも、一番印象に残ったのは、「スクールミーティング」というもの。

学費額や予算配分等を含む、スクールにおける ありとあらゆるルールを、

スクール生自身が、スタッフと共に決めていく、という点でした。

 

2018年4月半ば、家族みんなで説明会に行きました。

長男も次男も、まずは体験してみる、ということになりました。

 

西宮サドベリースクールでは、申込日から1か月のうち10回まで体験に行くことができ、「入学したい」と子ども自身が意思決定をしたら、体験期間内にスクールミーティングに出席し、入学プレゼンテーションを行うことになっています。

4歳から19歳までの入学を希望する本人が、自らの言葉で意思表明をします。

そこで承認を得ることができれば、入学できる、という流れとなっています。

 

当時小6の長男は、

「普通の公立小学校では経験できない体験ができそうだから」と表明し、入学が承認されました。

 

しかし、当時小3の次男は、「氣の合う友達が見つかりそうだから」と伝えたところ、

「普通の小学校でも見つかるんちゃう?」との意見に言葉を返すことができなかったらしく、帰り道に色々な感情がこみ上げて、ギャン泣き。

帰宅後も、そして数日経っても、それはそれは大荒れだったのを覚えています。

 

「もう、二度と行かない!」

体験期間はもう少しあり、入学プレゼンテーションのリトライは可能だったので、

次男に促してはみたのですが、本人の意思は強固。

 

結局、長男は西宮サドベリースクールへ、

次男は、また別のフリースクールを探すことになりました。

 

 

金沢に比べると、子ども一人で通える範囲に、いくつものフリースクールはあるのですが、安心して過ごせる居場所タイプのフリースクールが、なかなか見つかりませんでした。

 

 

2018年6月、元教員でスクールカウンセラーの方が展開されているスクールを見つけました。

そこは、スタッフも教員経験者が多い場所で、定期的に「不登校を考える親の会」を開催されています。

 

見つけたその日にすぐ問い合わせ、数日後、次男と共に見学に行きました。

次男は、通えそうだと言ったので、何度か付き添いながら通い慣れていった後に、

次男1人での通学体験を重ねていきました。

 

代表の方と度々やり取りし、ようやく安心して通えるかなぁ…と思い始めた、2018年の秋のこと。

ある日、来校するよう、ご連絡をいただきました。

「週に1度でも学校に通っていて、学校の先生としっかり連携が取れているご家庭のお子さんでないと、お預かりできません。」と伝えられ…また振り出しに戻った、ということがありました。

 

当時、スクールの方針が定まりつつあった時期で、

公立小学校には在籍のみという次男を、サポートしきれないと判断されたようでした。

 

わたし自身、愕然とし、肩を落としてしまいました。

次男もすっかり意欲を失い、1人で行動できるようになったのも束の間、

家から出ない日々が始まりました。

 

その上、その頃の長男は、サドベリースクールに通いつつも、楽しく行けないようになってきた時期にさしかかっていて、

息子達にとって、安心して通える場所はないのかと、また模索する日々が続いていきました。

 

やがて年が明け、2019年2月、神戸市の、とあるフリースクールを見つけました。

 

家族で出かけた時に、次男が、駅に掲げてある看板を見て、行ってみたいと言ったのです。

すぐに資料請求をし、一度見学に行って、話を聞いてみようということになりました。

 

そこは、スタッフ全員が不登校経験者で、子どもたちにとても共感し、寄り添ってくださる場所です。

主に中高生対象で、小学生は殆どおらず、勉学サポートの色合いの濃いフリースクールです。

 

まずは、ゲームや様々な体験ができる日に、週1回から行ってみよう、ということになりました。

 

しかし、次男にとっては、フィットする場ではなかった様子。

むしろ、次男から様子を聞いた長男が、「サドベリーよりも、そこに通いたい」と言い始めました。

 

結局、2019年初夏、当時中1の長男は、自らの意思で西宮サドベリースクールを退学することにし、そのフリースクールに通うことになりました。

中2の現在も、自分のペースで通っています。

 

当時小4の次男は、結局のところ、安心して過ごせる居場所が家だ、ということで、

小5の今も、ホームスクーラーという状況です。

 

昨年、金沢に帰省した際、息子達と共に、かつて通っていたスクールに伺いました。

特に次男は、その日初めて出会ったお子さんと瞬時に打ち解け、

笑顔がはじけて、心から楽しそうに過ごしていました。

 

その姿を見て、家族以外の誰かと繋がれる場所や時間が、

次男にとって、ものすごく大切なんだ、と、胸がいたみました。

 

本人にとって居心地の良い場所、安心して通える場所に出会えたら…

と、今も、情報収集をしながら過ごしているところです。

 

 

今回、こうして振り返ってみて、

フリースクールには多種多様な場所がある、ということを、改めて感じています。

 

歴史が長く、考えがしっかりしているスクールもあれば、

創立して間もない状態で、走りながら試行錯誤しているスクールもあります。

 

子どもの望む居場所のイメージも多様な中で、

子ども自身が心地よく、親も安心して送り出すことのできるスクール選びは、

現在の日本では、なかなか簡単なものではないような感じもします。

 

だからこそ、子どもの望みに合致するスクールが見つかった時の嬉しさや安心感、

その価値というのは、とてつもなく大きいと実感しています。

 

 

我が家では2018年から「不登校新聞」を定期購読しています。

そこには、全国各地の親の会や、フリースクールの情報などが掲載されており、

不登校を経て社会で活躍されている方のお話なども載っています。

(毎月1日・15日発行、web版もあります。)

 

ここ数年、検索をすれば、数年前に比べて随分と情報を得られるようになってきました。

 

数多ある情報の中で、ウチの子にしっくりくる居場所は、どういう場所なのか?

このような思いで模索し始めておられるご家庭は、年々増えてきているように思います。

 

我が子のニーズを理解し、広く情報を集め、どんな場所があるかを知ること。

その中でフィットする場を、子どもと一緒に見つけていこう。

わたしたち親子は、今、このように考えています。

 

我が家のこれまでの経験が、フリースクール検討の際や、お子さんと話し合われる際に、

少しでも参考になればと思います。

 

必要とされている方に届きますように。

 

 

 

◆これまでのコラム

HSCの息子達が選んだ 積極的不登校への道

HSC息子達の選んだ積極的不登校への道 その2

HSC息子達の選んだ積極的不登校への道 その3

HSC息子達の選んだ積極的不登校への道 その4

 

writer:上埜典子(13歳男子・11歳男子の母)

・HSP*HSCメッセンジャー 認定スペシャリスト

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photographer: 長束加奈(10歳男子、8歳男子、6歳男子の母)

・日本パステルホープアート協会公認パステル和アートインストラクター

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