2021年8月31日
感性キッズコラムニスト村上泰子さんによる、よりこサンインタビュー
前編はこちら
―――世の中や集合意識ではなく、次女ちゃんの気持ちに寄り添う。そう決めてからは
どのような状況だったのでしょうか。
よりこサン:夫や同居している私の母、担任の先生に登校刺激はせず、次女の意思に任せると伝えました。次女の安心安全な状況を確保し、次女の気持ちを最優先すると決めても、
私は不安でいっぱい。落ち着くために不登校関係の本を読み、ネットでも片っ端から情報を集めて調べ回りました。
そこでふたつの衝撃的な情報を知ったのです。ひとつめは義務教育に対する私の勘違い。ふたつめはHSCでした。
―――義務教育について、何を勘違いしていたのでしょうか。
よりこサン:『義務教育の「義務」は親の義務。子どもが教育を受ける権利を守る義務が大人にはあるということです。子どもに通学の義務はありません。』
ネットで見つけた一文です。親には子どもの「就学義務」はありますが、子どもにその義務はない。
子ども本人が何らかの理由で行けない、行かない、行きたくないのならば、何が何でも学校に通わなくてはいけない義務はなく、子どもに選ぶ権利があるということです。大人がよく言いがちな「義務教育なんだから、絶対に学校に行かなくちゃいけないんだよ!」は間違いで、無理やりに引っ張ってでも連れて行くのが親の義務ではないのです。
(※記事ラストに参考資料あり)
学校に行かせない=保護者責任の違反に当たるのかもしれないとドキドキしていたから、
ものすごくホッとしました。
―――義務教育は学校に行かせることだと思っていたので、よりこサンにお聞きして
驚天動地とはこのことだというぐらいの気持ちになりました。
ふたつめの衝撃、HSCという言葉にはどんなふうに出会ったのでしょうか。
よりこサン:不登校の息子さんがいる方のブログを読んでいた時に目にしたんです。
HSCという言葉がものすごく気になって、調べて説明を読んだら、「これだーーー!」と
体中に電流が走りました。次女が育てにくくて、でも感じていることが何かわからず、
発達障害を疑って調べたこともありました。説明を読み進むと、今までの出来事が
一気につながり、マイノリティだけれど5人に1人はいるとわかり心から安堵。
私もHSPチェックテストをしてみたら、質問の内容を読むだけで自分がHSPだと
わかりました。夫も長女もHSP。家族全員HSPでした。
―――家族全員だったのですね。次女ちゃんやご家族にはHSP、HSCの概念を伝えた
のでしょうか。
よりこサン:次女に自分だけじゃないよ、家族みんなそうだよ、安心してねと感じてほしくて伝えました。
対面で話すといろんな感情が乗るだろうなと思い、夫と長女にはLINEで。
同居している母には明橋先生の『HSC子育てハッピーアドバイス』を渡しました。
―――大きな影響を受けたのではと想像しますが、それぞれの反応はいかがでしたか。
よりこサン:次女は「ふ~ん」と淡々と聞いていましたが、表情はリラックスしていました。
夫は「だから何?ラベル付けすれば安心するわけ?特別扱いって開き直るわけ?その弱点に甘えず克服するため努力しないと。みんな我慢して生きてるよ、納得いかない。」
私は「弱点ではなく強みかもしれないよ?たとえ弱点だったとしても得意なところを伸ばせばいいと思う。普通に、平均的にと寄せるから苦しくなるんじゃないかな」と熱弁しました。
さらに反論してきたので、これは時間がかかるなあと、
「納得できないのはわかった。とりあえず次女を否定することは言わないで黙認だけしてほしい。私に任せてほしい」とお願いしました。
―――その発言には聞き覚えがあります……。私の夫も似たようなことを言っていました。
よりこサン:不登校あるあるですよね。父親が受け入れられず暴言を吐き、
時には暴力で子どもを追いつめてしまう。男の人は社会性のアンテナ全開で、自分を殺して我慢して、
感情を麻痺させている人が多いのかなあと思います。
不登校を受けいれるのは、今まで頑張って我慢してきた自分を否定してしまうことにつながっているのかもしれません。そうなら時間がかかるのは当然だよなあと。
その分、時間をかけたら大丈夫かもと思いました。
―――よりこサンのお母さまの反応はいかがでしたか。世代が違う分、拒否反応が強かったのではないでしょうか。
よりこサン:強烈でした。「これ、どうやったら治るわけ?どっか病院連れて行った方がいいんじゃない」。
本当に本を読んだの?と聞きたくなるぐらいのご乱心。
昭和初期世代あるあるなのかなあ。ああ、今いくら話しても届かないなと思ったので、
「とにかく大丈夫だから。何も言わないであげて」とだけお願いしました。
そして次女が元気に私と笑っているのを見ているうちに、外野は黙っていくだろう。
なんとかなるさ~と自分に言い聞かせました。
―――HSCを知ってから2年以上が経ちましたが、その後のご家族の様子はいかがでしょうか。
よりこサン:夫は一年かけて、少しずつ変わっていきました。エネルギーが底の底で、
一時期お風呂にも入れなかった次女が、元気になっていくのをそばで見ていたのは
大きかったと思います。
母は相変わらずで、私が外出しようとすると「次女をおいて、よく一人で出かけられるね」と何回も言ってきますが、
「次女もひとりで楽しそうだし」という感じで返事してから出かけています。
次女についてなんやかんや言う時は、最終手段として
「追い込んで死んだらどうするの」と言うと黙ります。
結局、口出してくるのは次女が幸せになってほしいからこそなんですよね。
―――しんどい局面もあるだろうに、よりこサンが視野広く、柔軟性あるままでいられる
のはどうしてなのでしょうか。
よりこサン:不登校、HSP、心理学といろんなことを学んできました。
なかでもアドラー心理学の「課題の分離」。相手の課題なのか自分の課題なのか分けて考えるというものです。
相手の機嫌も体調も自分がなんとかすることはできないし、自分のせいでも自分がどうこうする問題でもない。
境界線を意識して巻き込まれないように気をつけながら、相手を信じてゆだねるようにしています。あとは孤立しないことがとても大切。
―――孤立しないように心がけていることはありますか。
よりこサン:不登校はまだ少数派ですが、探せば必ず体験者に出会えます。
実際、ホームスクールをしていた子が中学校を卒業したと聞いたこともありました。
話を聞くことを通して、いろんな立場の人と知り合えます。不登校体験者の話が聞きたくて講演にでかけたら、講師は大人になってピラティスの先生をしている人。そのままピラティスを習い始めて2年がたちました。直接会いに行けなくても、ネットにはたくさんの情報がありますし、自分から探してつながるのは大切だなと思っています。
―――最後に、HSCちゃんママへのメッセージをお願いします。
よりこサン:まずは子どもじゃなく、自分にOKを出してみませんか。
衣食住を確保しながら、一生懸命子どものことを考えるのはすごいんです。
自分にOKが出せれば子どもにも出せるようになっていきます。
それから、親が子どもにあげられるのは根拠のない自信を育てることだと思っています。
親自身が「何とかなるよね」「大丈夫」と思っていたら子どもも自然とそうなっていく
のではないでしょうか。
お互い、苦手なところへの対策情報は集めつつ、いいところにフォーカスしていくよう視点を変えて、
自己受容と「生まれてきてくれてうれしい、生きていてくれるだけでいい」
そう思った原点を忘れないようにしたいですね。
よんな~、よんな~(ゆったり、まったり)、笑っていきましょう。
🔶義務教育についての参考資料
・文部科学省
・フリースクール 東京シューレ
不登校は義務教育違反? ~不登校のひろば by 東京シューレ (shure.or.jp)
・不登校イッツオーライト
義務教育の本当の意味とは? 「二重の誤解」を解きほぐす – 不登校イッツオールライト (futoukou-all-right.com)
🔶よりこサン情報
①ブログ
HSP☆超感覚人間家族☆~笑ってればなんくるないさぁ〜 (ameblo.jp)
②Instagram
よりこサン(@yoriko1719) • Instagram写真と動画
③stand.fm
・不登校次女ちゃん小学生~中学生時代
不登校次女ちゃん小学生時代〜中学入学 – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
・HSPを家族に伝えてみたよ
HSPを家族に伝えてみたよ(´∇`) – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
・重いリュック背負ってるの気づいてる!?
重いリュック背負ってるの気づいてる⁉️ – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
・明日が大嫌いだった次女ちゃんの話
「明日が楽しみ🎶」そんな毎日送れてますか? – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
・次女ちゃんの近況
我が家のスティーブ・ジョブズとウークイと(*´艸`) – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
・今の学校との関わり
不登校次女ちゃんと校長先生に会ってきたよ〜ん – ヘンテコお茶目な❤よりこサンち | stand.fm
「あやかるの耳ぐすいラヂヲ」 よりこサン ゲスト出演
・HSPについて
前半#31-1 あやかるの《ちょっとぐわぁ聞かせて》LIVE ~前半~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm
後半#31-2 あやかるの《ちょっとぐわぁ聞かせて》LIVE ~後半~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm
・不登校について
前編
#33-1「不登校について(前編) 」~あやかるのちょっとぐわぁ聞かせて~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm
後編
#33-2「不登校について(後編)」~あやかるのちょっとぐわぁ聞かせて~ – あやかるの耳ぐすいラヂヲ | stand.fm
◆これまでのコラム&インタビュー
【インタビュー】『君が君らしくいられる』それが何よりも大切なこと~学校がすべてじゃないんです
【インタビュー】「八方ふさがり」そう思ったときでも、情報があれば望む方向へ進んでいけます
『ありのまんま そのまんまの自分でいられる』そんな世の中になっていくように種まきをしています ~藤田恵理さんインタビュー
たくさん悩んで「学校に行くべき」という価値観を脱ぎ捨てたら 思いっきり視界が広がって楽になりました ~よりこサンインタビュー【前編】
writer/interviewer : 村上泰子(16歳女子、14歳女子の母)
・アロマメディテーション セラピスト
・Webライター
・香りは人生の羅針盤 自分の本当の気持ちがわかるアロマメディテーション
https://ameblo.jp/iroha1227-1031/
・Facebook:https://www.facebook.com/yasuko.murakami.311